日本の保守勢力が「壊滅状態」に陥るなか、「新しい保守主義」運動が始まった「納得の理由」
衆院補選東京15区の様相
衆院補選東京15区で日本保守党から立候補している新人のイスラム思想研究者、飯山陽(あかり)氏が健闘している。彼女の戦いは、東京15区のみならず「壊滅状態に陥っている日本の保守勢力が再生できるかどうか」を占う試金石になる。 【画像】韓国・文在寅の「引退後の姿」がヤバすぎる…! 日本保守党は、ベストセラー作家の百田尚樹氏とジャーナリストの有本香氏が中心になって、昨年9月に結成された政治集団だ。そこに、名古屋市長の河村たかし氏が率いる地域政党、減税日本が合流した。今回の選挙戦は、国政への初挑戦だ。 彼らはカネも組織も地盤もない。国会議員がまだ1人もいないので、国の政党助成金も支給されない。マスコミには泡沫候補扱いされ、世論調査でも、トップを走る立憲民主党の新人で元区議の酒井菜摘氏(共産党が支援)をはじめ、他候補に大きく引き離されていた。 ところが、選挙戦が進むにつれて、ネット上で彼女の名前が連日、トレンド入りした。街頭演説にも多くの聴衆が集まったが、悪質な妨害を受けて、やむなく事前の告知をとりやめた。それでも、話を始めれば、多くの人が足を止め、耳を傾けている。最近の調査では、猛烈な勢いで支持を増やしているようだ。 その理由は、なにか。 私がコラムを連載している夕刊フジは、彼女の演説を「魂の辻立ち」と評したが、まさに建前を排して、本音で斬り込む弁舌が聴衆の心をつかんでいるのは、間違いない。ときには、激しい言葉も使うが、けっして扇動ではなく、問題を根本から考え抜いた末の「論理と常識」に基づいている。だから、説得力がある。
壊滅状態にある日本の保守勢力
それ以上に見逃せないのは、日本の保守勢力が壊滅状態にあるからだ。 保守勢力の旗頭だった安倍晋三元首相は2年前、悲劇的な死を遂げた。その後、何人もの自民党政治家が「遺志を継ぐ」と述べたが、そうはならなかった。象徴的な例が、LGBT(性的少数者)理解増進法の成立である。多くの保守派議員が賛成票を投じ、安倍氏を支えてきた支持者には「裏切り」と映った。 追い打ちをかけるように「政治とカネ」をめぐるスキャンダルでは、岸田文雄首相によって、複数の有力な安倍派議員たちが政権中枢から追放されてしまった。いま自民党政権は、親中派であり、かつリベラル勢力の代表格である岸田首相が完全に牛耳っている。 こうした現状に、いわゆる「保守岩盤層」と呼ばれる自民党支持者たちは苛立ちと欲求不満を募らせた。そこに登場したのが、飯山氏だったのである。 そもそも、百田氏らが新党を結成したのは、LGBT法案をめぐる自民党の対応に納得できなかったからだ。今回の東京15区補選で、自民党は当初、小池百合子都知事が率いる「ファーストの会」副代表で作家のLGBT法容認派、乙武洋匡氏の支援を検討していた。 だが、乙武氏は憲法9条の改憲に反対している。そんな乙武氏を、憲法改正が党是である自民党が支援するのは本来、筋が通らない。地元の反対もあって結局、支援を見送ったが、この迷走も「自民党支持者に対する裏切り」だった。