ナチス共通番号の悪夢…フランス哲学者「なぜ日本はマイナンバーと保険証を一体化?」G7で唯一!「個人の自由と権利の侵害」大反対の歴史
フランスでも社会保障番号と個人番号を接続しようとしたが、「個人の自由と権利の侵害」として大反対にあって中断した
実は、フランスでも、社会保障番号にあらゆる個人情報を接続してデータベース化し、コンピュータで一元管理する試みが提案されたことがあった。ポンピドー大統領時代の1973年のことである。 この試みは、計画の頭文字をとってSAFARI(Système Automatisé pour les Fichiers Administratifs et Répertoire des Individus)プロジェクトと呼ばれた。 しかし、この計画が1974年3月21日に「ル・モンド」紙で取り上げられると、「サファリ」という呼称が人間のハンティングを予想させたようで、個人の自由と権利の侵害を警戒した市民たちの大反対に会い、中断されてしまう。 サファリ計画をめぐる一連の騒動の結果、政府は法案策定委員会を設置し、個人情報取り扱いについて議論を重ね、1978 年に「情報処理と自由に関する法律」(個人情報保護法)が制定されるに至るのである。
G7の中でも、マイナンバーカードと保険証を一体化しようとしている国は、日本だけ
他方、日本では、健康保険証の廃止を定めるマイナンバー法等の一部改正法について、施行期日を令和6年(2024年)12月2日とする施行期日政令が公布された。現行の健康保険証の発行については、令和6年(2024年)12月2日より終了し、マイナンバーカードでの保険証利用を基本とする仕組みに移行する(厚生労働省HPより)。 実は、意外なことに、マイナンバーカードのような国民ID番号(身分証明書)と、健康保険証を一体化させている国は、先進7カ国(G7)では日本だけである(2023年7月現在)。
なぜG7の他の国はそうしないのか…ナチスによる共通番号の悪夢がちらつく
もちろん、国民ID番号と健康保険証を統合することによるいくつかのメリットがあることは認める。しかし、逆にG7の他の国が、しようと思えばでき、さらには効率化・合理化を飛躍的に可能にする紐付けをなぜしないか、を考えるべきだろう。これについて、国際社会経済研究所の主幹研究員、小泉雄介氏は、第二次世界大戦中のナチス・ドイツによる蛮行に対する反省であるとする。「ナチスは『共通番号』によってユダヤ人らをあぶり出し、それが虐殺につながりました。つまり、住民の選別、国民の統制に使われたんですね」(2023年6月16日付朝日新聞DIGITAL)。 個人を識別する情報を正確に収集し管理する特権性としての権力。過去の歴史から得られた教訓が、国民の間で、その横暴に対する深い懸念と個人情報一元化に対する慎重な姿勢となって現れている。
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