〈ベネッセアートサイト直島〉で三分一博志が改修した家屋〈またべえ〉にて新作展示が公開。
「Ring of Fire- ヤンの太陽&ウィーラセタクンの月」
家プロジェクトのある直島・本村地区で18年ぶりの新作。ヤン・へギュとアピチャポン・ウィーラセタクンが昼と夜それぞれ、同じ空間にインスタレーションを展開する。また〈ベネッセハウス ミュージアム〉でも新しい展示が公開中だ。 【フォトギャラリーを見る】 今回、新展示が公開された直島・本村地区は空き家などを改修し、時間や記憶とともに空間そのものをアーティストが作品にする家プロジェックトが複数公開されている。ジェームズ・タレルの〈南寺〉や杉本博司の〈護王寺社〉などがあるが、今回登場した《Ring of Fire- ヤンの太陽&ウィーラセタクンの月》は、2006年の大竹伸朗による《はいしゃ》以来、このエリアでの18年ぶりの新作となる。 アーティスト2名による異例のコラボレーションは光や音、振動で五感を刺激する。その上、〈またべえ〉の日本家屋の美しさは格別だ。
ソウルとベルリンを拠点に活動するヤン・へギュとタイ出身、映画監督でアーティストのアピチャッポン・ウィーラセタクンが初めて協働制作に取り組んだインスタレーション《Ring of Fire- ヤンの太陽&ウィーラセタクンの月》。 昼はヤン・ヘギュのインスタレーションで、環太平洋火山帯の地殻変動をリアルタイムデータと連動させ、光や振動、音、回転などを通じて、大地の中の見えない動きを伝える。いつどのような動きがあるのか、毎回異なる、生きた作品だ。
一方、アピチャッポンは1900年から2024年まで、過去124年間の火山帯の地殻変動のアーカイブに注目。作家による長年の旅と探索の断片がコラージュ、点描や光の線に分解されて現れては消えて空間を漂う、 「クリスチャン・ボルタンスキーの《心臓音のアーカイブ》を豊島で体験した際に、自然と涙を流していました。その感動から、生と死に繋がる鼓動を地球規模に広げたらどうなるか、がアイディアの元になっています。へギュはリアルタイムの動きを、私は歴史的な記録を作品にしています」(アピチャッポン・ウィーラセタクン)