ジョージアで新大統領選出へ 親露与党候補が勝利確実の情勢、強権化進む恐れ
南カフカス地方の旧ソ連構成国ジョージア(グルジア)で14日、大統領選(任期5年)が行われる。同国では強権・親ロシア色を強める与党「ジョージアの夢」が欧州連合(EU)加盟交渉の凍結を発表した11月末以降、親欧米派の野党や国民の抗議デモが続いてきた。野党側は抗議の一環として今回の大統領選に候補者を擁立していないため、「夢」が擁立したサッカー選手出身の前国会議員で、唯一の候補者となったカベラシビリ氏の選出が確実な情勢だ。 ジョージアの大統領は従来、国民の直接選挙で選出されてきたが、今回から国会議員や地方議員らで構成する選挙人300人の投票で選出する。大統領は権限が議会より小さい儀礼的存在だが、「夢」はカベラシビリ氏を新大統領に据えて政権基盤を盤石にする構えだ。 親欧米派のズラビシビリ現大統領が退任することで、「夢」の強権化がさらに進む恐れもある。ズラビシビリ氏は「夢」に対抗するため任期満了後も大統領を続けると表明しており、ジョージアの政治混乱はなお続きそうだ。 「夢」は昨年末、ジョージアの「EU加盟候補国」の地位獲得を実現した。しかし、今年に入って10月の議会選対策を主眼とし、外国から資金提供を受けて活動する団体を規制する反スパイ法と、性的少数者(LGBTなど)の権利を制限する法律を成立させた。 両法は類似した法律がロシアで政治・人権弾圧の手段として使われていることから、EUは「夢」の強権化を非難し、加盟手続きの一時停止を発表。親欧米派の野党や国民も「EU加盟を遠ざける」と反発した。 「夢」の勝利が発表された10月の議会選でもEUや野党側は選挙不正が起きたと主張。「夢」出身のコバヒゼ首相は11月末、これに反発する形で「2028年までEU加盟交渉を凍結する」と表明した。(小野田雄一)