ビットコインは8万2000ドルを突破、需要の源はどこに:CoinDeskアナリスト
トランプ氏が米大統領選に勝利したことで、暗号資産(仮想通貨)市場はこの数日、活況を呈し、ビットコイン(BTC)は史上最高値を更新、暗号資産の時価総額は2兆7000億ドルを超え、今年の最高水準となっている。 ビットコインの時価総額は当記事執筆時点で1兆1600億ドル、9番目の規模を持つ金融資産となった。Glassnodeのデータによると、先週、ビットコインは17%上昇し、今年2番目に好調な週となった(3月3日に終了した週の22%上昇にはわずかに及ばなかった)。 ビットコインは、理論的にさらに上昇する可能性があるのか、あるいはこれは局所的な最高値なのかを理解するには、ビットコインを誰が購入しているのか、また、現物取引、レバレッジ取引のどちらが原動力となっているのかを理解することが不可欠だ。
Coinbaseの現物取引高が急増
まず、現物(スポット)取引の累積出来高デルタ(CVD:Cumulative Volume Delta)を考えてみよう。これはGlassnodeが「バー内の出来高と価格の変動を使って各チャートバー内の買い圧力と売り圧力の差(デルタ)を推定し、その推定値を指定期間で累積したもの」と定義しているものだ。 現物CVDのほとんどは、米国の投資家や機関投資家に広く使用されている暗号資産取引所コインベース(Coinbase)から来ており、Coinbaseプレミアムの急騰と一致している。 過去3年間に目を向けると、コインベースのCVDが急騰したときは、局所的な高値や安値付近であることは明らか。3月、ビットコインが当時の最高値7万3000ドル超を記録したときには、CVDは高水準に達した。また、2022年のFTX破綻のときにも、局所的な安値付近で高水準となった。つまり、底値付近では経験豊富な投資家が買い、最高値付近では他の投資家が買っていることを示している。
ベーシス取引または真のビットコイン購入
米国上場のビットコインETF(上場投資信託)への資金流入が、現物購入のみによるものなのか、あるいはベーシス取引と呼ばれる戦略の一部なのかについては、多くの議論がなされてきた。 ベーシス取引とは、現物価格と先物価格の差から利益を得る手法だ。具体的には、ETFでロング・ポジションを保有しながら、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の先物市場でショート・ポジションを保有し、価格差から利益を手にすることだ。 今年1月、ビットコインETFがスタートしたときには、巨額の資金が流入した。しかしそれ以降、ビットコインは概ね安定しており、ETFが価格にそれほど影響を与えていないことを示している。これは主に、ETFがデルタ・ニュートラル戦略を採用しているためだ。 先月、暗号資産インデックス・プロバイダー、CFベンチマーク(CF Benchmarks)のCEOは「ETFへの流入の40%は、直接的にベーシス取引によるものだった」とCoinDeskに語った。だが、ETFへの流入が記録を更新する一方で、CMEの建玉はそれに追随していない。 ビットコイン・アナリストのCheckmateも、この傾向を指摘した。 「ビットコインETFへの資金流入は、先週、CMEの建玉の増加を大幅に上回った。純粋な方向性を持った現物買いが戻ってきた。11日はおそらくFOMO(機会を逃すことへの恐怖)とモメンタム買いも見られるだろう」とXに投稿した。つまりこれは、一部のバイヤーが上昇への乗り遅れを恐れていることを示している。