Yahoo!ニュースのコメントに「全国旅行支援は税金の無駄遣い」 専門家が解説
県民割を9月末まで延長
観光庁は8月25日、観光需要喚起策として実施している県民割を9月末まで期間延長した。一方、全国旅行支援については、当初7月前半に実施を予定していたものの再延期を行ってきた。 観光庁が実施してきた「県民割」(地域観光事業支援)は、県内旅行および隣接県からの旅行だけが対象だったために、効果が期待できないという意見から、4月1日からは「関東や近畿」など同一の地域ブロックにある都道府県からの旅行も支援対象に追加するブロック割を行うことになった。しかし、「実施する都道府県がバラバラだし、実施地域の狭い、広いがあって不公平だと感じる。それに大阪府は、(7月でいったん終了し)9月まで適用されなかった点も不公平だと」と大阪府内のホテル経営者は、問題を指摘する。 さらに、静岡県の旅館経営者は「隣接する地域の住民も割引を利用できるようになったのは良いが、それ以外の地域から来られるお客様は割引がない。チェックアウトの際など、気を使います」と言う。こうしたことからも、全国旅行支援への要望が強まっていた。
より慎重な検討を
観光業界からは、限定的な県民割・ブロック割から、より広範な全国旅行支援の10月再開を歓迎する声が多い。しかし、政府のさまざまな新型コロナ禍対策による支援金、補助金の多発に対して、懸念の声も高まりつつあることも事実だ。 県民割を利用して、姫路城見物に来たという関西地方の在住の夫婦は、「5千円割引、金券千円と、得するのは良いのだけれど、結局、数年後にはそれ以上の増税になるのではないかと思うと、ちょっとねえ」と顔を見合わせた。9月の3連休、姫路市内のホテルは、その多くが満室で、あるホテルのフロントに聞くと、「お客様の7割程度が県民割などの割引を利用されている方です」という。 中小企業支援制度は、行動制限などの解除や緩和に伴い、段階的に終了する見込みだ。観光産業への支援は、経済波及効果が高く、地方経済にとって重要だということは確かだが、「バラマキ」や「富裕層優遇」という批判に対して、より慎重な検討が求められるだろう。Yahoo!ニュース内の記事のコメント欄で、慎重な意見が多かったことは、こうしたことを反映している。また、すでに全国旅行支援が実施されていない段階で、新幹線や一部の観光地ではコロナ禍前とほぼ同じ程度の人出となり、このまま全国旅行支援、インバウンドの解禁が行われた場合、コロナ禍以前よりも、ひどい観光公害が生じるのではないかと懸念する声も、観光業界関係者や行政関係者から聞かれる。 いずれにしても、コロナ禍が一段落し、今後、急速に平常化する中で、これまで実施されてきた支援策の継続や中止については、より一層の慎重な検討が必要となっている。 【この記事は、Yahoo!ニュースコンテンツ制作部がYahoo!ニュースの配信記事に投稿されたユーザーのコメント(ヤフコメ)を解析した内容を基に企画、オーサーが執筆したものです。耳目を集めたニュース記事へのコメントを解析して浮かび上がったユーザーの疑問などにたいして専門家が応える企画となっております。】