「愛子さまのティアラ新調は、次世代へ技術を伝える最後の機会」腕飾りがティアラに「ブローチ」は帯留めに…皇室の宝冠を手掛ける工房の切なる願い
元日に皇居・宮殿で執り行われる「新年祝賀の儀」では、皇后雅子さまをはじめとする女性皇族は、ローブデコルテとティアラ(宝冠)の正装で臨む。見る人のため息を誘う、ダイヤと真珠が煌めく宝冠。女性皇族のティアラを手掛けてきた工房のひとつ「アトリエマイエドール」は、皇室のティアラの製作には技術の継承という役目もあると話す。 【写真】圧巻の輝き!雅子さまの「菊の宝冠」と王朝の「薔薇」96個のルビーとピンクダイヤの宝冠はこちら! * * * 首飾りや腕飾り(ブレスレット)が顔の上で煌めくティアラに、そして宝冠がブローチや帯留めへと華麗に形を変えるーー。 「皇室のティアラには独自の工夫が凝らされています」 そう語るのは、女性皇族のティアラと宝飾品を製作してきた1969年創業の宝飾工房「アトリエマイエドール」代表の大倉仁さんだ。 都内にある同社の工房のドアを開くと、使い込まれて飴色になった木製の作業机や作業台の上で、ジュエリーを加工する熟練の職人の姿がある。 同じ空間には、指輪やネックレスなどのジュエリーのデザインや設計図を3Dモデルで作製するためのパソコンが数台と、3Dプリンターも並ぶ。 明治以降の皇室において、宮殿行事など公式な場における正装は洋装とされ、ローブデコルテに宝冠の「ティアラ」と首飾りなど5種の宝飾品と、勲章が女性皇族の正装とされている。 宮妃は結婚、内親王や女王方は成年を迎えるタイミングでティアラとイヤリング、首飾り、左右の腕飾り(ブレスレット)、勲章をつける大綬(だいじゅ)留めのブローチを合わせた5種類の宝飾品をそろえる。
■腕輪飾りがティアラ、ブローチは帯留めに 大倉さんによると、この宝冠と宝飾品は、分解したり組み合わせたりすることで、別のアクセサリーになる仕様なのだという。 左右のブレスレットをつなぐとティアラへと変わる仕様や、大綬留めのブローチが帯留めに、宝冠が複数のブローチへと「変身」するパターンも多い。 たとえば、高円宮家の守谷絢子さんが18年10月にホテルニューオータニで開いた結婚を祝う晩さん会では、久子さまがお持ちの首飾りを絢子さんがティアラとして着用。母娘の愛情が伝わる場面だった。 「帯留めも日本の小物ですし、ここまで細やかに分解したり、組み立てるティアラや宝飾品の設計は、日本独特かもしれませんね」(大倉さん)