「愛子さまのティアラ新調は、次世代へ技術を伝える最後の機会」腕飾りがティアラに「ブローチ」は帯留めに…皇室の宝冠を手掛ける工房の切なる願い
■限界ギリギリまでのティアラの軽量化と強度 透明感のある繊細な細工も日本の宝飾品の特徴だ。花や唐草文様などを透かし彫りで仕上げていくが、裏にも細工をいれることもあるという。 透かし彫りはエレガントな装飾であると同時に、素材の金属を彫り抜くことで宝冠の重量を軽くすることができる。 「表だけでなく裏からも彫りを施すのは、皇族方が重いと感じないよう、ご負担を軽減するためでもあります。ただし、華奢になってはいけない。強度を保つことができるギリギリのラインをミクロン単位で見極めながら、細工を施していきます」(大倉さん)
通常の宝飾品ではできない細工や装飾、デザインが施される皇室の宝冠と宝飾品の製作は、緊張の連続だ。一方で、それは工房にとっても貴重なチャンスで、職人たちへの技術の伝承という意味合いも大きいという。 秋篠宮家の長男の悠仁さまが結婚すれば、お妃のティアラを新調することになるが、悠仁さまはまだ18歳と、当分先の話になりそうだ。 皇位継承順位の状況によっては、雅子さまから紀子さまへ受け継がれた皇太子妃(皇嗣妃)のティアラを多少のリフォームで悠仁さまの「妃」がお使いになる可能性もある。 ■愛子さまのティアラ新調は、技術の伝承の最後の機会 となれば、日本の職人が皇室のティアラ製作に携われる現実的なチャンスは、叔母の黒田清子さんからお借りしている愛子さまが、ティアラを新調するときだ。 ただ、この25年度予算案にも製作の経費は計上されておらず目途は立っていないが、大倉さんはその日が来るのを切に願っている。 「高度でかつ繊細な技術を要する皇室のティアラは、日本の宝飾職人にとっても学ぶことが多く、次の世代の職人に技術を伝えるチャンスです。ぜひ愛子さまには、新しいティアラを作っていただきたいと思っています」 (AERA dot.編集部・永井貴子) 〉〉続きはコチラ【佳子さま方は「百合」の宝冠 「フェニックス(不死鳥)」のティアラをご希望の女性皇族は? 製作した工房が明かすプリンセスの宝冠】 ◎工房「アトリエマイエドール」/1969年に創業者 デザインから加工まで、ジュエリーの製作を職人がトータルで手がけるクリエイティブ集団。国内外のブランドの宝飾品も手掛ける。同社が運営するハイジュエリーブランド「大倉堂」は、伝統と革新を融合し、日本の美意識を持つ職人の手で、「ときをこえた」宝飾品を生み出している。2024年末に工房を併設したサロンをオープン。https://www.okurado.co.jp/salon/
永井貴子