【有馬記念】皐月賞敗戦後の”縮小会”秘話/ドウデュース友道師独占手記2
<栄光の道程> 長い道のりもあと1週間-。グランプリ有馬記念(G1、芝2500メートル、22日=中山)でラストランを迎えるドウデュース(牡5、友道)を管理する、ダービー3勝トレーナー友道康夫調教師(61)が、独占手記連載「栄光の道程」で愛馬との道のりを振り返る。全4回の第2回は、皐月賞敗戦後の“縮小会”での秘話などを明かす。 【写真】松島オーナー、武豊騎手と談笑する友道師 ◇ ◇ ◇ ドウデュースは、ハーツクライ産駒の遅生まれ(5月7日)です。普通に考えたら2歳から動ける血統ではありません。しかし、この馬は早くから調教、競馬としっかり動けていました。ドウデュースの初めてのG1勝利は、2歳の暮れの朝日杯FSです。松島さんの初G1制覇、そして豊くん(武豊騎手)にとって初めての朝日杯FS制覇となりました。とてもうれしかったですし、「なんとしてもダービーを勝つんだ」と強く思いました。 クラシック初戦の皐月賞は3着と敗れました。その夜、本当は祝勝会の予定だったのですが、勝てなかったので、松島さん、豊くんと私の3人だけでの食事会となりました。祝勝会を予定するくらいですから、松島さんはかなり落ち込んでいて…。その時、豊くんが「これが本当の“縮小会”ですね」と笑いながら言ったんです。さすがだな、うまいな~と思いました。3人とも笑顔になって。「ダービーは勝とう」と。「ダービーは勝てますよ」と自然と前を向いていました。松島さんは「ほんまか、ほんまか」と言っていましたけどね。私も、豊くんもダービーを勝てると思っていました。 実際、皐月賞のレース後、すぐに「これなら、ダービーを勝てるだろう」と手応えがありました。大外を回り、最後の脚はすごかったですから。豊くんも同じ認識で、「ダービーを勝つために、あそこ(4角)で我慢をしました」と言っていました。4角で早めに動けば、皐月賞は勝てたかもしれません。しかし、それではダービーはどうだったのかな…と。ダービーを見据えた騎乗に、さすが豊くんだなと思いました。 ドウデュースとダービーを勝ち、私は3回目のダービー制覇となりました。本当にうれしかったです。マカヒキ、ワグネリアンで勝った時とは、また違う喜びがありました。何より、馬主さんも、騎手も、調教師も一目置く存在である「武豊」で勝てたというのが大きかった。やはり、ダービーは何度でも勝ちたいものだと改めて感じました。 武豊で凱旋門賞を勝つ。これが、松島さんのキャッチコピーです。松島さんとは約4年の付き合いですが、よっぽど豊くんのことが好きなんだなと肌で感じます。ダービーを勝ったら、凱旋門賞へ行こう。以前から話はありましたし、私自身もマカヒキで味わった悔しさを晴らしに行きたいという思いもありました。(つづく)