スマホで見る「地域限定アニメ」、富山で人気
実在する地域を舞台にした「ご当地アニメ」が続々と登場する中、富山県南砺市が制作して4月から公開している作品は、スマートフォンなどで同市内でしか視聴できない「地域限定アニメ」です。男女の恋物語にその土地の風土を織り交ぜて描いたストーリーで、作品の舞台を巡る「聖地巡礼」 が増えるなど、観光の呼び水となっています。7月は期間限定で一部全国公開もしています。
予告編はYouTubeで47000回以上
南砺市が制作したのは「恋旅~True Tours Nanto~」。動画投稿サイト「You Tube」に掲載された予告編は3月25日以降で47,000回以上再生されました。物語は「耀司と千晶編」、「晴喜と葵編」、「匠と夏子編」の構成で、それぞれ、利賀・福野、井波・平・上平、福光・井口・城端のエリアが舞台です。前・後編約3分、全6話で、男女の心のすれ違いが織りなす恋愛ドラマを楽しめます。 南砺市内に本社を置くアニメ制作会社「P.A.WORKS」の協力を得て制作されました。P.A.WORKSはアニメの元請け制作を地方で手掛ける全国でも珍しい企業であり、金沢市の湯湧温泉を舞台にしたテレビアニメ「花咲くいろは」で全国的な認知度を高めました。
観光施設の来館者が3倍に
「恋旅」のスマートフォンによる視聴は、専用アプリをダウンロードすることでデータを入手、GPS機能と連動していることから、それぞれの物語の舞台を訪ねることでロックが解除され、作品が再生できます。携帯電話のワンセグ放送は、作品の舞台となった地域にある特定の施設周辺で、50チャンネルに合わせることで受信が可能となります。 4月27日から5月6日には、南砺市観光協会が市内巡回バスを運行。作品にちなんだ写真撮影のポイントや、舞台を巡ることでポストカードやリコレクトアルバムを贈る催しも展開しています。ゴールデンウイーク中には、ツバキの貴重な品種を展示した「いのくち椿館」の来館者が前年同期比で約3倍増となるなど、作品の舞台は、幅広い年齢層のアニメファンでにぎわいました。 7月10日が「南砺(なんと)の日」ということを記念し、「晴喜と葵編」の前編のみを、10日から7月末まで全国で視聴できるよう変更しています。スマートフォンの場合はGPS機能を解除、ワンセグ放送は都内の秋葉原周辺で受信できることから、視聴をきっかけに新たな誘客を図ります。