自身の発明が”戦争”に使われ「生まれてきたことを後悔」…ダイナマイトを発明したノーベルから学ぶ「この世の本質」
近年注目が集まっているアントレプレナーシップ。「起業家精神」と訳され、高い創造意欲とリスクを恐れぬ姿勢を特徴とするこの考え方は、起業を志す人々のみならず、刻一刻と変化する現代社会を生きるすべてのビジネスパーソンにとって有益な道標である。 【漫画】頑張っても結果が出ない…「仕事のできない残念な人」が陥るNG習慣 本連載では、米国の起業家教育ナンバーワン大学で現在も教鞭をとる著者が思考と経験を綴った『バブソン大学で教えている世界一のアントレプレナーシップ』(山川恭弘著)より抜粋して、ビジネスパーソンに”必携”の思考法をお届けする。 『バブソン大学で教えている世界一のアントレプレナーシップ』連載第57回 『日本式経営はアメリカの「前提条件」レベル...「米国最大」のスポーツ市場発展の根底にあった重要な《視点》』より続く
あらゆるものは道具に過ぎない
2022年3月、NASAは「2040年までに人類が火星を歩けるようにする」と発表しました。 人類が地球以外の天体、月に初めて降り立ったのは記録上では1969年、アポロ11号によるものです。 月面への有人探査を計画したアポロ計画は、1961年に当時のケネディ米大統領が決断し、推し進めた計画です。 アポロ計画当時は、米ソ冷戦構造の真っただ中で、宇宙開発競争が激化していました。今、はたして当時のような熱があるかどうか、予算が確保できるかどうかは不透明です。
ロケットの前身とフォン・ブラウン博士
この宇宙開発に絶対に欠かせないものが、ロケットです。 地表から宇宙にものを打ち上げる。アポロ11号を打ち上げたサターンV型ロケットは、高さ100mを超える巨大なものです。 このサターンV型ロケットを設計したのは、ヴェルナー・フォン・ブラウン、ドイツ出身で第二次大戦後のアメリカ宇宙開発における科学者たちの中心人物です。 フォン・ブラウン博士は、第二次大戦中、ナチスドイツにおいて、ある兵器の開発に携わっていました。弾道ミサイルです。 その成果であるV2ロケットは、ドイツ国内からロンドンを攻撃できました。超音速で飛来するV2ロケットは迎撃不可能だと恐れられましたが、高コストであり量産されなかったといいます。 このV2ロケットは、初めての弾道ミサイルであり、後のICBM(大陸間弾道ミサイル)をはじめ、あらゆるミサイル、ロケット兵器の原型です。 宇宙開発ロケットもV2ロケットと基本的な構造は同じなのです。