50歳会社員、先日「老後は5000万円必要」と聞きました。以前は「2000万円」だったと思うのですが本当ですか?「貯金ゼロ」の自分は老後破産してしまうのでしょうか…?
最近、「老後2000万円問題」を耳にしなくなったと思ったら、今度は「老後資金は5000万円必要」といった話がささやかれるようになり、気になった人も多いのではないでしょうか。 そこで本記事では、老後2000万円問題のおさらいと、なぜ老後資金に5000万円が必要と言われるようになったのかを解説します。あわせて、会社員の老後生活の収支もシミュレーションしているので、ぜひ参考にしてください。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
「老後2000万円問題」とは
「老後2000万円問題」が話題となったのは、2019年に金融庁の金融審議会 市場ワーキング・グループが公表した 「高齢社会における資産形成・管理」という報告書がきっかけでした。 報告書は老後に向けた資産形成の必要性を訴えたものだったのですが、以下の記載だけがクローズアップされました。 ●高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円となっている ●収支と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20年で約1300万円、30年で約2000万円の取り崩しが必要になる 「不足額約5万円」は、図表1の総務省が公表した2017年家計調査年報の「高齢夫婦無職世帯の家計収支」(実収入20万9198円から実収支26万3717円を引いた-5万4519円)がもとになっています。 そして「30年で約2000万円の取り崩しが必要になる」という部分が大々的に報道されたもの、つまり「約5万5000円×12ヶ月×30年= 約2000万円の不足」が老後2000万円問題の正体です。
<図表1> 総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)平成29年(2017年)II 世帯属性別の家計収支 ※高齢夫婦無職世帯とは夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯 ところが「不足額約5万円」は毎年変動があり、2022年の調査では不足額が縮小し、図表2のとおり毎月の不足額は実収支24万6237円-実支出26万8508円=-2万2271円となりました。老後30年で計算しても不足額は801万7560円(2万2271円×12ヶ月×30年)と、2000万円には遠く及ばない金額です。