「運動ギライが筋トレ始めた」きっかけは世界的アイドル? ダイエットにも〝推し〟が効く医学的な理由
「フィットネス推し活」の利点
最近では、フィットネス事業者の中にも“推し”の要素を取り入れ、運営しているところがあります。いわゆる「暗闇系フィットネス」と呼ばれる業態です。クラブのような空間の中、爆音で流れるヒット曲に合わせてバイクを漕ぐFEELCYCLEや、ボクササイズをするb-monsterなどがあります。 もちろん、ストイックにバイクを漕ぐ・ボクササイズをすることや、音楽に合わせて運動すること自体を主な目的とする利用者も、裾野が広がったことでそれほど熱心でないライトユーザーも、多くいます。 同時に、そのインストラクターがスポットライトを浴びるアーティストやモデルのような存在になる文化も形成されています。 この効果は医学理論でも説明できます。人が体に良い行動をするために必要なものを示す「健康行動理論」によれば、運動を続ける要因は以下の7つです。 a. 運動をすることが自分にとって本当に「良い」ことだと思うこと b. 運動をうまく行えるという「自信」があること c. このままでは「まずい」と思うこと d. 運動をする上で「妨げ」が少ないこと e. 「ストレス」と上手く付き合っていること f. 運動をする上で周りから「サポート」が得られること g. 健康になれるかどうかは社会的要因や運もあるが、自分の「努力」によっても左右されると思うこと これらと照らし合わせながら、運動における“推し”の効果を分析してみます。まず、“推し”のレッスンを受けることは、ファンにとって「本当に『良い』こと(a)」でしょう。逆に、運動をしないと推しとの接点がなくなるため、「このままだと『まずい』(c)」のも明白です。 ここで、推しはフィットネスの指導者なので「運動をする上での『サポート』(f)」がむしろ本業。スタッフとして日々のコミュニケーションで「運動をする上での『妨げ』(d)」を発見し、それを解消する方向に導くことができます。 また、推しの指導に合わせて運動をすることで、「『ストレス』と上手く付き合う(e)」ができるのも大きいでしょう。それだけでなく、ファンの経時的な変化にも注目し、レッスン毎にほめたり、励ましたりといった推しからのサポートは、「運動をうまく行えるという『自信』(b)」にもつながります。 こうして通い続ければ結果的に「健康」に近づいているため、「自分の『努力』によっても左右される(g)」という自信もつきやすくなる、という効果があります。流行りの「推し活」は、ダイエットとの相性もいいものといえるでしょう。