私大入学者の過半数を超える安易な「年内入試」、総合型選抜や学校推薦型選抜が広まる傾向への疑問符
■ 高校の「探究学習」と総合型選抜は相性がいい? 1週間の時間割がほぼ教科名で埋まっている学校は依然として多いが、学校によっては「探究」とか、あるいはその学校独自の科目名の時間を設けている学校が少しずつ増えている。ほとんどが教科の授業で講義型という学校が少なくなり、多寡はあるにしてもPBL型(問題解決型)、対話型、グループ活動型の授業時間が増えている。 「探究学習」は現行の学習指導要領で重要視されていることはもちろんだが、生徒が将来仕事をしていくことを考えても、自分で課題を設定し、それを解決するために友だちと協力しながら調査・分析し、解決策をまとめて発表するという経験はぜひ積んでおきたいものである。 こうした流れからも大学入試においては総合型選抜と“相性がいい”ことは確かだ。生徒が学んだことがそのまま生かせる総合型選抜を推奨する高校が増えているのも当然の成り行きだろう。 高校での授業形態と大学入試の形態の関係で言えば、教科学習中心の時代は当然大学入試も教科学力を見る一般選抜中心にならざるを得なかった。これが探究学習に比重を置く授業形態になれば、総合型選抜が増えてくるのは構造的にも必然と言える。この点が以前のAO入試と異なる点だろう。
■ 偏差値の低い大学ほど一般選抜の割合が低下 だが、もう一方の側面から言えば、大学が将来の18歳人口の減少を控え、一般選抜の割合を低下させているという事情もある。一般選抜で採る人数を減らすことで偏差値の低下を防ぐという狙いである。 例えば、早稲田大、慶應義塾大、明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大の7大学のうち、20年前と比べて入学定員に占める一般選抜の割合が増えているのは中央大と法政大しかない。 早稲田大、慶應義塾大は20年前には一般選抜の割合が70%を超えていたのに、現在は60%を切っている。上記の7大学より偏差値の低い大学になればなるほど一般選抜の割合は低下しているのが実情だ。 実際にこの20年間を振り返ってみると、各大学とも付属校、系属校の強化に力を入れている。少子化に備え、下からのパイプを太くしておこうという狙いだ。