西武の内海哲也の引退試合で元巨人監督の高橋由伸氏が投げかけた「テツ、また一緒にやれるかな」の言葉が意味するものとは?
今季限りでの引退を表明していた西武の内海哲也投手(40)が19日、本拠地ベルーナドームで行われた楽天戦後に引退セレモニーに臨んだ。花束贈呈役の一人を務めた、巨人時代から親交が深い高橋由伸氏(47)から「テツ、また一緒にやれるかな」と意味深な言葉をかけられ、スタンドがどよめく場面もあった。引退会見から引退登板、セレモニーと万感の一日を過ごしたベテラン左腕の今後に、早くも注目が集まっている。
西武でも後輩から慕われた人格と指導力
リップサービスの一環だったのか。それとも、ラブコールも込められていたのか。スーツ姿の高橋氏が投げかけた言葉が、ベルーナドームをどよめかせた。 巨人時代に先輩として、そして監督として内海と親交が深かった高橋氏は、グラウンド上で花束を贈呈した後の挨拶をこう切り出した。 「監督として、同じ時代を戦った仲間としてたくさんの時間を過ごしてきたけれども、内海の野球に対する姿勢は素晴らしかった。多くの後輩たちが、そして同僚、もちろん僕ら先輩たちも影響され、刺激され、感銘を受けた人はたくさんいる。 今シーズン限りでプレイヤーとしての幕は閉じるけれども、これからもそんな内海に期待して、求めている人がたくさんいると思います。そして、活躍する場所がたくさんあるはずです」 そして笑みを浮かべながら、意味深な言葉を投げかけた。 「テツ、また一緒にやれるかな。19年間、本当にお疲れさまでした」 思わず口元をほころばせた内海は、ベルーナドームに隣接する球団事務所内で午前中に行われた引退会見で、シーズン終了後の身の振り方に対して「ゆっくり家族と過ごして、今後のことは考えていきたい」と言及するにとどめていた。 もっとも、現役最後となった19年目のシーズンは兼任コーチを務めてきた。同じくベルーナドームに隣接する2軍の本拠地、CAR3219(カーミニーク)フィールドで若手にまじって汗を流してきた日々を、内海は笑顔で振り返っている。 「若い投手たちがちょっとしたアドバイスでよくなったり、喜んでくれたりしてすごくやりがいがあった。役に立てたとは思っていないが、1、2年目の若手を育てたい、アドバイスしたいと思ってきた。実るのはこの先。なので、これからも応援したい」 西武に移籍した2019年以降の一軍成績は、10試合に登板して2勝3敗、防御率4.54だった。今シーズンを含めて4年間の多くを過ごした二軍でも、巨人時代から大切にしてきたこだわりを貫いたと、内海は自らを褒めるように胸を張った。 「こだわりは誰よりも朝早く来て、誰よりも練習すること。実際できていたかどうかわからない自己満足の世界だけど、どれだけ体がしんどくても継続させてきたつもりです」 巨人時代はともかく、西武移籍後のCAR3219フィールド通いは、神奈川県内に自宅がある内海にとってかなりの強行軍だったはずだ。それでも時には故障を抱えながらも 、西武でもこだわりを完遂させた姿勢に、内海の引退会見後に取材に応じた西武の渡辺久信ゼネラルマネージャー(GM)も、感謝の思いを込めて目を細めている。 「ジャイアンツ時代の内海選手のことも聞いていたし、野球に対する姿勢や準備の大切さという点で、彼ならウチに来ても若い選手にとってすごく勉強になると思った。彼を選択して間違いではなかったと、この4年間を見てあらためて感じている」