成長とともに背骨が曲がる「脊柱側彎症」、原因分からない「特発性」が大半…10歳過ぎの女児はチェックを
福岡市立こども病院の整形・脊椎外科長の柳田晴久医師に、成長とともに背骨が曲がってしまう「脊柱側彎症」について聞いた。 【動画】「脊柱側彎症」思春期の女子を中心に注意が必要…福岡市立こども病院の柳田晴久医師
脊柱側彎症は▽生まれつき背骨に異常がある「先天性」▽別の病気が原因となる「症候性」▽まひ性の疾患の合併症として起こる「神経筋原性」――などに分類されるが、原因の分からない「特発性」が大半を占める。
10~14歳頃、急激に身長を伸ばす女子が発症しやすい。発症する割合は、女子に限ると2~3%とされている。学校によっては1学年に1人はいることになる。
進行の程度は個人差が大きく、何の治療も要らない場合もあれば、痛みや呼吸機能の低下にまでつながることもある。程度によってはコルセットを装着するなど、進行を抑える処置をできるだけ早く始める必要がある。
背骨が大きく曲がっている場合は、インプラントを使用して背骨を矯正する手術治療も選択肢になる。曲がりを整え、その後の進行も抑えられるメリットがある一方で、出血や神経損傷などのリスクもある。
初期には自覚症状に乏しい疾患のため、学校での運動器検診で見つかることが多い。「要受診」とされた場合は早めに整形外科を受診してほしい。
家庭でのチェック方法もある。まっすぐに立った状態を背中側から見て、肩や骨盤が斜めになっていたり、肩甲骨が隆起していたりしていないかを確認する。次に、膝を伸ばしたまま両手のひらを前で合わせて前屈し、背中に隆起がないかを確かめる。
遺伝子レベルでメカニズムを解明する研究も進んでいるが、いまだに原因ははっきりしない。誰がいつ発症してもおかしくないと思い、特に10歳過ぎの女児については家庭でもチェックすることを心がけてほしい。(聞き手・大森祐輔)