京王線や多摩都市モノレール線が乗り入れる「高幡不動」(日野市)。新宿まで33分、家族で住んでも「8万円」の街の、家賃以外にもたくさんある“魅力”
駅の南口を出て、駅舎を背に右の方向を見ると、「高幡不動尊参道」のレトロチックな門構えが確認できる。 ■浅草寺と違って年末年始以外はわりと静か 参道は、不動尊の山門まで一直線に120mほどだ。両側には銀行、バーバー、整骨院、青果店、甘味処、などの店が並ぶ。初めは何も考えずに歩いたが、往復したときにふと違和感を覚えた。なんだろうと、来た道をもう一度戻った。すると、違和感の理由がわかった。 神社仏閣の参道は、参拝客を当て込んだ店が並んでいるものだ。ところがこの高幡不動尊参道にはそうした店が、あまりない。どうしてだろう。街の人たちの話を総合することで、筆者なりに分析してみた。
「年末年始はすごいお客さんでね。駅周りも大変ですよ」「大晦日は夜通し電車が走っているから参拝客も便利なんだよね」「お正月はここら界隈は本当に賑やかになりますよ」 出てくる話は年末年始ばかり。どうやらそれ以外は、さほどの混雑はないものと思われる。つまり、一年中観光客でごった返す浅草の浅草寺のようなゴタゴタをこちらで心配することはなさそうだ。 参道も、参拝客を当て込むより、地元の人たちの商店街として生きるほうが効率的なのであろう。
そんな地元密着型の参道を抜けると、すぐに不動尊の山門が見えてくる。 関東三大不動のひとつである高幡不動尊には、毎年初詣の時期に30万人以上の参拝客が訪れるという。日野市の人口が19万人ほどだから、その約1.6倍の人たちが正月期間中にここを訪れるわけだ。すごい数である。街の人たちが言うだけのことはある。 境内の広さは4000坪。隣接する山林を合わせると、約3万坪にもなるという実に広大な不動尊だ。この敷地に不動堂と仁王門という2つの国指定重要文化財が保有されている。
またこちらは、新選組の副長である土方歳三の菩提寺としても知られる。境内には土方の銅像が睨みをきかせている。 まずは線香をお供えして、境内を散策してみた。 前述の通り、訪れた日は紅葉の時期と重なった。境内は赤や黄色に色づいた木々で燃えるような美しさだった。 年末年始だけでなく、その他の季節も十分に楽しめる場所である。 ■大きな銀杏が目印のレストラン 高幡不動尊を出て、街を散策してみた。 今回歩いたのは地図に赤くマーキングしたあたりだ。