子どものころの記憶がほとんどない--「歌うサイボーグ」だったさくらまや、 無職 からの再出発
自分で学費を払っているから“元”を取りたい
さくらは、日本大学法学部政治経済学科で法律を学んでいる。退社前は、大学院進学も考えていた。 「教授に『大学院に進学する気持ちはないの?』と言っていただいて、歌の仕事をしながら、大学院へ行こうと。でも、こんなことになってしまったので、もう大学を卒業したら法律系の就職をしようかなとか、いろんな人に相談をしてみたら、『せっかく歌を10年以上続けてきたのに、今諦めるのはもったいないし、お世話になった人たちにも失礼なんじゃないか』と言われまして。確かにそうだな、と考え直して、個人事務所の設立を決めました」 目下、卒業論文に取り組んでいる。仕事よりも今はこちらが問題、とさくらは笑う。 「いや、本当に今、卒論が一番の悩み。毎日もう、悩みながら寝てます。普通に仕事を続けていれば、本当は8月、9月中に書くつもりだったんですが、事務所立ち上げでいろいろあって…ギリギリになっちゃってる感じで。私、宿題は後回しにしないタイプなんですけど(笑)」
大学では、教授と話すことがとにかく楽しい、とさくらは目を輝かせる。 「自分で学費を払っているので、できるだけ“元を取ろう”という気持ちがあるのかもしれません。コロナ禍で、4年生になってから全部リモートなんですよ! 小学生の頃から学校はちょくちょく休んでいて、教科書で勉強することに慣れてはいるんですけど、図書館も使えず、直接先生に質問ができない状況というのは…はっきり言って、料金がもったいない(笑)。私、全教科で聞きたいことが本当にいっぱいあるんです」
子供のころの記憶がない
デビュー当初からブレイクした数年間の記憶が、さくらにはほとんどない。 「北海道から引っ越してきて、マンションに落ち着く前は、ホテル暮らしを1ヶ月くらいしたのかな。学校も環境も変わったし、混乱してたんでしょうね。夏休みもずっと全国の漁港や祭りを巡っていて、もう、どこの地域にいるのかさえわからないという状態でした。盆踊りをしたり、櫓の上で太鼓を叩いたり…断片的な記憶しかなくて。はちゃめちゃに、忙しかったのかな。6歳違いの姉とは北海道と東京で離れて暮らすことになったので、寂しかったですね。だから今、犬を飼っているのかもしれません」