注意すべき“首の痛み”の特徴と対処法を医師が解説!
「寝違えた」「スマホを見る時間が長かった」など、日常的に首の痛みを感じている人は多いのではないでしょうか。じつは、放置すると危険な首の痛みもあります。 【イラスト解説】「くも膜下出血」の原因・4つの症状 一体、どのような症状が出たらすぐに受診すべきなのか、「入船整形外科リハビリテーションクリニック」の稲田先生に解説していただきました。
首の痛みで注意すべき症状とは?
編集部: 首の痛みがあるときには、受診した方がいいのでしょうか? 稲田先生: 結論から言えば、症状によります。例えば、姿勢が原因となっている痛みや、激しい運動をして首に負荷がかかったことによる痛みなどがあります。また、精神的なストレスで筋肉が硬くなり、痛みが生じることもあります。これらの症状が、時間の経過とともに軽快するようであれば、特に心配はいりません。 編集部: 放置しても問題ない首の痛みもあるのですね。 稲田先生: はい。特に最近では、パソコンやスマホを長時間使ったことにより、首の痛みを感じる人が増えています。なぜなら、パソコンやスマホを使っていると、自然と頭の位置が前方へスライドして、首周りの筋肉が緊張し、こわばってしまうためです。 編集部: 姿勢を原因とする首の痛みは、病院へ行かなくてもいいのでしょうか? 稲田先生: 基本的には、時間の経過とともに軽減します。ただし、パソコンやスマホの見過ぎによって骨格が歪み、ストレートネックになってしまうと、頚椎の自然なアーチが損なわれ、首の痛みが慢性化してしまうことがあります。 編集部: その場合は治療が必要でしょうか? 稲田先生: 骨自体が変形してしまうこともあるので、念のため医師に診察してもらうことをおすすめします。
危険な首の痛みとは?
編集部: そのほか、首の痛みが生じる原因はありますか? 稲田先生: 加齢も首の痛みの原因になり得ます。年齢が上がると、首の骨と骨の間にあるクッションの役割を果たす「椎間板」が変性して、痛みが生じやすくなるからです。椎間板が変性することにより、頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアなどを発症すると、首の骨に骨棘と呼ばれる棘ができ、神経を刺激して強い痛みが出ることもあります。 編集部: その場合には、早めに受診した方がいいのでしょうか? 稲田先生: そうですね。疾患を放置すると首の痛みだけでなく、肩や腕が痛んだりしびれたりして、日常生活に支障をきたすようになります。 編集部: そのほか、どのような症状が出るのですか? 稲田先生: 神経の損傷部位によっては、しびれが下肢にも広がったり、字を書いたりボタンをはめたりする動作がやりづらくなったりします。もし、しびれなどの神経症状が見られる場合には、できるだけ早めに診察を受けるようにしましょう。 編集部: 危険な首の痛みはありますか? 稲田先生: 例えば、重篤な疾患では、がんの転移や化膿性リンパ節炎などが考えられます。あるいは稀ですが、頚椎の硬膜外血腫やくも膜下出血、動脈解離などによって急激な痛みが生じることもあります。 編集部: そのような場合は、緊急の対応が必要ですか? 稲田先生: はい。例えば、くも膜下出血は脳卒中のなかでも致死率が高く、非常に危険な疾患です。今までに体験したことがないような激しい痛みが生じたら、すぐ救急車を呼びましょう。そのほかにも、急激な首の痛みが生じたら、緊急の対応が必要です。