トークン化資産、特有のリスクをいかに軽減するか
デジタル資産市場は2024年、大きな変革期を迎え、「トークン化」が強力な新トレンドとして台頭している。この勢いは、ブラックロック(BlackRock)のような大手金融機関の参入によって後押しされ、トークン化資産のTVL(Total Value Locked:預かり資産)は急増している。 増加は、投資家からの需要・信頼・関心が高まっていることを示すもので、近年のステーブルコインの広範な受け入れに続く、普及の新たな段階を象徴している。 こうしたポジティブなトレンドにもかかわらず、トークン化資産市場は大きな課題に直面している。TradFi(伝統的金融)の投資家は、商品の構成に慎重であり、流通市場では流動性の問題に直面している。
独自のリスクに対処する
さらに発行後のデジタル資産の取引やモニタリング、さらに強固なリスクマネジメントプロセスの複雑さが、潜在的な投資家を遠ざけている。より広く受け入れられるためには、トークン化資産は強固なインフラを確立し、透明性の高い商品ライフサイクルを提供する必要がある。 市場供給が普及曲線に沿って進むにつれて、データの可用性、データ分析、データの質の不足が、投資家のための構造化されたデューデリジェンスとモニタリングプロセスの実施を著しく複雑にしていることがますます明らかになっている。 これは、トークン化資産のライフサイクル全体を通じて、様々なリスクエクスポージャーにつながる。これらのリスクは、新たな資産の創出、資産特性の変更、発行の契約条件、取引、カストディ、原資産の評価において顕著となる。 投資家は、バリューチェーンに沿った潜在的なリスクと、関係する仲介者について熟知しておく必要がある。トークン化資産の発行、流通の各プロセスに固有の商品構造を理解することは不可欠であり、運用インフラ、評価メカニズム、規制のフレームワーク、財政コンプライアンス、実行への影響も理解することで、投資家はリスクを軽減し、それぞれのステークホルダーからの信頼を高めて、質の高い商品に流動性を配分することができる。 効果的なリスクマネジメントには、技術インフラの継続的な評価、進化する規制への準拠、スマートコントラクトの厳格なセキュリティ対策が含まれる。明確な財産権の確保、秘密鍵の安全な保管、高品質のオラクルサービスによる正確な評価も不可欠だ。 オンチェーンとオフチェーンの両方のデータを活用する危険信号検知システムを持続的な価格発見メカニズムとともに統合することで、完全性と信頼性がさらに高まる。 さらに、発行者、トークン、原資産の3つのレベルすべてにおいて、データの流れや情報の変化を常に監視することで、徹底したリスク評価と情報に基づいた意思決定が可能になる。 トークン化資産市場は急速に発展しており、新しい商品や顧客セグメントを伴う革新的な価値提案により、従来の金融投資家からの関心が高まっている。しかし、大きな課題も残されている。 その複雑性から、投資家は追加のリスクマネジメントプロセスを導入する必要があり、独立した評価を提供するためには専門のデータプロバイダーや格付け機関が不可欠となる。 入念な監視、モニタリング、継続的な評価を通じて、これらのステークホルダーは、市場が安全で透明性が高く、投資家フレンドリーな形で発展することを保証し、最終的には、より広範な普及とグローバルな金融システムへの統合につなげることができる。 |翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:Shutterstock|原文:How to Mitigate the Unique Risks of Tokenized Assets
CoinDesk Japan 編集部