大逆風なのになぜか上がる意外すぎる「JT株」を分析して見えた…!「成熟企業の勝ち筋」と「珠玉の“高配当”5銘柄」を一挙公開する!
根強い「たばこ」の需要
ならば、嫌煙ムードの強い日本ではなく、比較的たばこに寛容なイメージがある海外などで売り上げを伸ばしているのだろうか。 同様に地域別の内訳を見てみると、日本を含むアジアの売上シェアが34%であるのに対し、その他の西欧、EMA(アフリカ、中近東、東欧、トルコ、南北アメリカなど)が3分の2の売上を占めている。つまり、日本以外の味を加えれば収益源の多くを海外に依存している。 こちらの説のほうが、業績への貢献の信憑性はありそうだ。 図:売上高のセグメント別内訳 実際に、直近の決算説明資料を見ると、日本を含むアジアの販売数量や売上高、利益がマイナスとなっている一方で、西欧やEMAは対前年比でそれらのプラスの数字となっている。 特に、電子タバコの普及が要因として大きいらしく、紙巻たばこの衰退から電子タバコへの移行の動きが海外でも普及し始めたことが業績の押し上げ要因となっているのが現実のようである。 しかしながら、これらの業績についても無視できない点がある。 それが、今期の通期の業績予想が、売上高はわずかに増収ながらも、利益は減益となる見通しである点だ。 日本を代表する成熟企業として、急成長を見せるグロース株のような派手さはなくとも、これまでのように中長期的に成長が継続するのであれば、それを事前に織り込んで株価が上昇するという理屈付けは可能だろう。 しかし、現在の状態は、利益の伸びが鈍化する想定の中で、前掲のチャートのように株価がこれまで以上の加速度で上昇を続けているのである。この一件矛盾ともいえる業績と株価のかい離状態の原因を考えた際に決め手となるのが、冒頭に触れた現在の日本株市場の配当の優位性だ。
高配当利回りで買われる「成熟企業」
JTは、投資家の間で「配当利回りが非常に高い銘柄」として有名である。株価が上昇する以前は、予想ベースの配当利回りが8%を超える場面もあり、現在も4.4%と、TOPIXの2.3%と比べれば文句なしの高配当利回り銘柄だ。 図:日本たばこ産業(JT)とTOPIXの予想配当利回りの推移 この高配当利回りが、配当を好む投資家の需給を惹きつけた結果として、株価が急騰を続けていることは疑いないだろう。そして、このJTの圧倒的な高配当利回りは、大きく2つの要因によって実現されていると考えられる。それが、成熟企業・大企業としての事業の安定性と、還元への積極性だ。 業績のパートで記述したように、たばこ自体は成長産業ではなく衰退産業であるが、緩やかな海外需要の拡大と同時に愛煙家の継続的なたばこ購入によって、いわばサブスク(定期定額制)のような長期的な事業の安定感が担保されている。
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