デスク周りが汚くて必要な書類が見つからない!注意力が弱い人こそやってほしい、色分けして管理する物の“見える化”
まずは書類の見える化を
【見えていないものはないのと同じ。とにかく見える化!】 注意力が弱い場合、注意力の持続時間を伸ばす訓練が存在します。「注意持続訓練」というもので、ADHDの方の治療でも広く用いられています。 しかし、これには、限界があります。もともと集中が得意な人には敵わないですし、これは目の前の作業に集中する時間を延長する訓練であって、劇的に探し物が減るわけではないからです。 それよりもこの場合にやってほしいことは、「注意力が弱くても、物を見つけやすくする工夫」です。 物を見つけやすくする工夫は、何より「書類の見える化」をすることです。ADHDの方の治療プログラムでも整理整頓が強調されるように、モノの管理は非常に大切です。 通帳や印鑑、年金手帳、免許証、家の鍵などの生活必需品や、仕事で絶対に紛失してはいけない書類などを失くすことは、社会生活において信頼をなくしたり、手続きが遅れたりと、大きな犠牲を払うことになるからです。 特に失くしてはいけないもの、直近で使う予定があるもの、誰かに頼まれて預かっているものなど重要度が高い書類は、色のついたファイルに入れたり、分厚いバインダーに挟んだりして目立たせ、自分の注意をひきつけやすくしたり、たとえば、重要な書類は赤いファイルに、顧客関連の書類は青いファイルに整理するなど、色分けして管理します。
定期的に机周りの整理をする
また、机周りの整理整頓は、昼休み明けや1日の終わりに毎日定期的に行うことをおすすめします。1週間や1カ月単位の整理整頓はおすすめしません。 あまり溜め込まずに情報がフレッシュなうちにその都度断捨離するという方式の方が負担が軽いのです。こうすれば、パソコンを開く、印鑑を押すなどの業務に必要なスペースを机の上に確保することができるでしょう。 さらに、書類の保管場所にもこだわるといいでしょう。金属製の重さのしっかりしたファイル立てを複数購入し、色分けした書類を並べていきます。机の奥深くのファイルに挟み込むのではなく、パッと見てわかるようにしておくのがポイントです。 ADHD傾向の強い人は記憶力が弱いことでも知られていますから、視界に入らない=存在を忘れてしまうと考えておくといいでしょう。 ですから、対策にはいわゆる「見せる収納」が向いています。もちろん使った後は必ず元の場所に戻す習慣をつけることも重要です。 中島美鈴 1978年福岡生まれ、臨床心理士。公認心理師。心理学博士(九州大学)。専門は時間管理とADHDの認知行動療法。
中島美鈴