マンションを1カ月以内、値引きなしで売却することは可能? 相場に合致した値付けがカギ!
2024年上半期、市場は好調だが価格低下の兆しも
現在の2024年上半期は、中古マンション価格の上昇が続いている。東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の調査によると、2024年1月の首都圏中古マンションの成約価格は平均4860万円、前年同月比で13.7%上昇した。20年6月から44カ月連続での上昇となる。 それも、2023年12月までの前年同月比上昇率は一桁台にとどまっていたが、24年1月は二桁台の上昇。右肩上がりのカーブが大きくなっており、中古住宅市場は極めて好調に推移していることが分かる。 そのため、かなり強気の価格設定でも問題なく買い手がつくかもしれない。その一方、そろそろ頭打ちで価格低下が始まるとの見方も存在している。 その証左として、成約価格の二桁台の上昇に対し、売出価格はそれほど上がっていない。1~2%の上昇にとどまる月が多く、売主や仲介担当者が弱気になっていることが見て取れる。 市場動向は専門家でも予測を的中させることは簡単ではないため、慎重な見極めが大切だ。 【関連記事】>>中古マンションを購入・売却するなら築26~30年! 価格面や耐震性などメリット多数
マンションは値付けに成功すれば、1カ月で売れることも
図表2は、売却までにかかった期間別に、価格乖離率がどう異なってくるかを示している。当初の値付けの重要さについては、この表を見れば一目瞭然だ。 図表2 首都圏中古マンションの売却期間別の事例シェアと価格乖離率 1カ月以内に売却できた物件の価格乖離率は-2.62%のみだが、これが2カ月になると-4.60%に増大。 3カ月で-5.70%、4カ月で-6.95%と、売却までの期間が長くなるほどに価格乖離率が大きくなっていく。8カ月ともなれば-10.48%と、売出価格から1割以上値引きしないと売れなくなってしまう。 マンションの仲介市場では、多くの仲介会社が3カ月以内の売却を前提に値付けを行う傾向が強いといわれている。売主と仲介会社の間で締結する媒介契約の期間が3カ月となっていることが多く、3カ月で売れる値付けがひとつの指標となっているわけだ。 この値付けの判断を誤ってしまうと、簡単に売れずに、市場で野ざらしになる可能性がある。野ざらしになった物件は、何らかの問題があると見なされてしまう。売却までに時間がかかるだけでなく、多少の値引きでは買主が見つからなくなる。