沖縄メディアの痛切な反省「報道管制がなかったらどんな新聞を作るべきだったか」琉球新報の『沖縄戦新聞』
■沖縄県民が抱く「強い不安」 神戸:今年6月23日の「慰霊の日」では、玉城デニー知事が平和宣言を読み上げました。その中にはこんなフレーズがありました。 「広大な米軍基地の存在、米軍人等による事件・事故、米軍基地から派生する環境問題など過重な基地負担が、今なお、この沖縄では続いています。加えて、いわゆる、安保3文書により、自衛隊の急激な配備拡張が進められており、悲惨な沖縄戦の記憶と相まって、私たち沖縄県民は、強い不安を抱いています」 神戸:この「強い不安」、なかなか本土の人間には伝わってないのでは、という気がしますが、現地で取材してどう感じていますか? 滝本:伝わっていないとすると、我々としては非常にもどかしいところです。20年前の『沖縄戦新聞』も、「沖縄戦を二度と繰り返してはいけない」という思いで我々は作ったわけですが、今まさにこの時代にあって、いわゆる「戦前」に似た状況が起こっているのではないか、という視点で最近は報道を続けています。「新しい戦前にしない」報道を、と考えています。 滝本:沖縄戦では、いわゆる「沖縄守備隊」という名のもとに日本軍が入ってきました。今は、どんどん軍備が増強され、元々ある米軍基地に、さらに自衛隊の基地が「南西シフト」という名のもとに増強されていく状況が、沖縄戦の前に非常にだぶって見えます。重なっていないかと今、警鐘を鳴らす報道を続けています。 神戸:装備が整えば整うほど、危険も増えているのが沖縄、という印象です。滝本:軍が配備されたところが攻撃される。これは、沖縄戦の教訓としていつもずっと語り継がれているところです。 ■◎神戸金史(かんべ・かねぶみ) 1967年生まれ。毎日新聞に入社直後、長崎支局で雲仙噴火災害に遭遇。福岡、東京の社会部で勤務した後、2005年にRKBに転職。ニュース報道やドキュメンタリーの制作にあたってきた。23年から解説委員長。最新の制作ドキュメンタリーは、『リリアンの揺りかご』(映画版、80分)。
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