トランプはなぜこんなに強い?言動は問題だらけ、でも有権者は「違う部分」を見ていた…既に事実上の共和党候補に【混沌の超大国 2024年アメリカ大統領選①】
やっぱりドナルド・トランプ前大統領(77)は強かった。いよいよ開幕したアメリカ大統領選で、返り咲きを目指すトランプ氏が共和党指名候補争いの序盤2戦で連勝し、破竹の勢いを見せつけている。既に「事実上の共和党候補」だとの見方を疑う声はほとんどない。法や民主主義を軽視する言動で問題視されながらも、なぜ熱狂的な人気を集めるのだろうか。ポイントは、トランプ氏の「行儀の悪さ」だ。(共同通信ワシントン支局=比嘉杏里、武井徹) ロシアが核攻撃に踏み切ったらアメリカはどこに報復するか? 米政権内で行われていた机上演習の衝撃的な中身
※この記事は記者が音声「共同通信Podcast」でも解説しています ▽マラソンレース、心身ともにタフさ必要 大統領選は、二大政党の民主党と共和党が候補者を絞り込む「指名争い」と、各党の指名候補が対決する「本選」の2段階で進む。トランプ氏は2022年11月に出馬を表明しており、選挙戦は長期にわたるマラソンレースだ。この間、一挙一動が耳目を集め続けるため、人並み外れた体力や精神力が必要になる。心身ともにタフでなければ、大統領にはなれない。 指名争いは、州ごとの投票による「予備選」や話し合いによる「党員集会」を通じて候補者を絞り込む仕組み。共和党の勝者は7月の党大会で指名を受け、民主党の指名が確実視されている現職ジョー・バイデン大統領(81)と11月5日投票の本選に臨む。 共和党のレースで、トランプ氏は1月15日に開かれた初戦の中西部アイオワ州党員集会と、23日の第2戦、東部ニューハンプシャー州予備選での得票率がいずれも5割を超えた。共和党支持者の7割がトランプ政権の復活を望んでいるとの世論調査結果もあり、もはや党内で向かうところ敵なしだ。
共和党の有力政治家も続々とトランプ氏を推薦しており、早くも勝ち馬に乗ろうとする動きが広がっている。100人で構成する上院に共和党議員は49人いるが、トランプ氏支持を打ち出したのは既に30人を数える。 ▽「強い大統領」、再選なら初日だけ独裁者? トランプ氏の力の源泉は「米国を再び偉大に(Make America Great Again)」というスローガンの頭文字を取り、「MAGA(マガ)」と呼ばれる岩盤支持層の存在だ。 暴言にも悪びれず、職業政治家を「無能」と一刀両断し、政治の現状に憤る大衆の心をわしづかみにする異端児トランプ氏。支持者にとっては、南部国境から流入し続ける不法移民の問題を解決し、長引くインフレを克服できるリーダーに映る。「米国第一主義」に歓喜し、酔いしれる傾向は、移民流入によって近い将来、米国で少数派になることに焦燥感を募らせる白人層の間で特に強い。 トランプ氏は、ホワイトハウスに戻れば「初日だけ独裁者になる」と権力乱用を示唆して民主党側で物議を醸したが、こうした発言も支持者にはどこ吹く風だ。