トランプはなぜこんなに強い?言動は問題だらけ、でも有権者は「違う部分」を見ていた…既に事実上の共和党候補に【混沌の超大国 2024年アメリカ大統領選①】
アイオワ州に住むバーバラ・アルビンさん(78)は手放しで評価する。「トランプ氏は強い指導者。国境の問題を完全決着できる」。2016年、2020年もトランプ氏に投票した。 トランプ氏は議会襲撃や私邸への機密文書持ち出しなど四つの事件で起訴され、性的暴行の被害を訴えた女性作家への名誉毀損などの民事訴訟も抱えている。それでもMAGAは意に介さない。バイデン民主党政権による「政治的な魔女狩りだ」と信じて疑わないからだ。 バイデン氏が当選した2020年の大統領選はそもそも不正で、トランプ氏の勝利が民主党に「盗まれた」との思いの共有も結束を強くしている。 実際は選挙不正の主張には根拠がない。民主党は繰り返し「トランプ氏の主張はうそだ。民主主義を軽視し、アメリカを危うくする」と訴えている。だが、トランプ氏の支持者には関係ない。起訴や訴訟は誰も気にしないし、民主党が反論すればするほど、トランプ氏支持者の結束は固くなるという構図が続く。
▽輝きを増す過去、バイデン氏がアメリカをだめに? 4年に一度の大統領選では、こんな問いかけが繰り返される。 「4年前と比べてアメリカは良くなっただろうか」 1980年の大統領選で共和党のロナルド・レーガン氏が、現職だった民主党のジミー・カーター氏とのテレビ討論で国民に向かって訴えた言葉だ。 「みなさんには投票所で、4年前よりも自分は恵まれているのか自問してみてほしい。4年前と比べて、買い物は楽になっただろうか。失業率は4年前より増えているのか、減っているのか。アメリカは以前と同じように世界で尊敬されているのか。治安は4年前と同じくらい安全だろうか」 レーガン氏が発した本質的な問いは、カーター氏の再選の望みを打ち砕く一撃となり、その後の選挙でも現職に挑戦する各陣営が繰り返し使ってきた。 トランプ氏の復権を待望する有権者らは口をそろえる。「トランプ政権の4年間は、ウクライナや中東での戦争がなかった。アメリカが強かったからだ。国内のインフレも含め、バイデン政権になってからやっかいな問題が山積みになった。バイデン氏が弱いからだ」