歴史マンガを通して感じる世界史の面白さ 魅力的な34作品を取り上げた同人誌『あのマンガ、世界史でいうとどのへん?』
今年、ひさしぶりに海外に行く機会がありました。長い時間飛行機に乗って到着した街の、建物のたたずまいや地形など、風景の違いに目を奪われました。遠く離れた地にも変わらず人の暮らしがあり、連綿と続いてきた時の流れに思いをはせました。今回の同人誌も世界に目を向けた内容です。 【画像】目次(他画像5枚)
今回紹介する同人誌
『あのマンガ、世界史でいうとどのへん?』A5 30ページ 表紙カラー、本文モノクロ 著者:いさお
歴史マンガ34冊を時代順に紹介
こちらのご本は、物語の舞台が海外に設定されているストーリーマンガを取り上げ、世界史の流れの中でどの時代に位置しているかを示し、説明した同人誌です。取り上げる作品は、ネアンデルタール人、クロマニョン人を描く『創世のタイガ』、古代オリエント世界の『天は赤い川のほとり』から冷戦末期の『東独にいた』といった現代まで34作品。紹介内容はタイトル、作者名とともに時代が示され、画像は基本的に表紙が引用のみで、あとはしっかり文章で作品と世界史の関わりがつづられます。
歴史マンガの魅力を伝えたい! マンガと世界史の楽しさをミックス
本文では、1作品あたり3~5ページをとり、その舞台となったころはどんな時代だったか、起こった事件や背景を交えながら説明されています。 作者さんはマンガ好きが集まるオフ会で話した際、歴史マンガと時代についての話題が盛り上がったことをきっかけに執筆を始めたそうです。その心として、「歴史もののマンガの魅力を伝えたい」「世界史そのものの魅力を伝えたい」と2つの趣旨があるといいます。 その言葉通り、時代についての説明と作品の紹介が交互につづられるのですが、この説明と紹介の行ったり来たりが秀逸で、歴史に詳しくなくてもなんとなく分かるかも……な部分をとっかかりにしてくれることで、「ふむふむ」と「へぇ!」を繰り返して、やがて「なんだか面白そう……!」という興味深さにつながっていきます。 また、作者さんがどのような形で歴史とマンガに接してこられたのか、その背景は語られませんが、まるで歴史マンガの楽しさへ導くもののように着実に語り掛ける筆致は、しっかりさと親しみやすさのバランスが保たれているのも、歴史とマンガという2つを結び付ける雰囲気にぴったりだと感じました。