習近平主席の「大失策」が無差別殺人を生んでいる…中国人が口をつぐむ「場所も年代もバラバラな犯人」の共通点
■職業学校を襲った男は「中考分流」の犠牲者? 日本のような中学・高校のクラブ活動が少ないので、勉強以外に、自分の心の支えとなるもの、得意なもの、いきがいを持ちにくいのが中国社会だ。そのため、自分に自信が持てず、いったん社会から脱落すると、極端な方向に走ってしまうこともある。 江蘇省無錫市の職業専門学校で8人を死亡させた男(21)は、同校の出身者だったが、「卒業証書をもらえず、職場での報酬に不満を抱いていた」という。このニュースを見て想起したのは、中国で18年ごろから実施されている「中考分流」という教育方針だ。 これは、増えすぎた大学進学者を抑え、高校入試(中考)の段階で、大学に進学できる成績なのか、そうではないのかという「ふるい」にかけるもので、約半数の学生に大学進学をあきらめさせ、職業中学(職業専門学校)や中等専門学校(日本の高等専門学校)に進学させるように仕向けるものだ。 大卒者の就職が困難になり、ホワイトカラーをむやみに増やさず、専門職に就く人を増やすという方針だが、中国では、これが非常に不評だ。逆にこの方針によって、早期に「自分はエリートになれない人間」というレッテルを貼られたと思い、自暴自棄になる若者もいる。職人が尊敬されにくい、メンツを重んじる中国社会ならではの現象だが、職業専門学校に通う若者の中には、通いたくて通っている人ばかりではないことも確かだ。 ■犯行現場はいずれも出稼ぎ労働者が多い 3つ目は戸籍の問題だ。私はこれまでも著書や記事の中で、中国人を大きく2つに分ける戸籍制度が、社会のさまざまなひずみや問題、差別を生んでいると指摘してきた。中国には都市戸籍と農村戸籍があり、1950年代後半から実施されている。 北京や上海などの都市に生まれれば、都市戸籍を持つことができ、進学、就職、住宅購入、社会保障などの面で優遇されるが、農村に生まれれば、農村戸籍となり、優遇は受けられない。とくに、都市部に出稼ぎに出た際に、本人はそれ(自分が外来者であること)を嫌というほど痛感させられる。 日本人男児が刺殺された広東省深圳市や、その対岸にあり、男が車で暴走した事件が起きた珠海市、あるいは深圳に隣接する東莞市、広州市などは日系、台湾系などの外資や国内企業の工場が多い工業地帯で、外地(別の省)からの出稼ぎ労働者が多い土地柄だ。