高校サッカー注目の次世代ヒーロー候補5人
■タビナス・ジェファーソン [DF/神奈川・桐光学園3年/182cm、74kg] 威圧感を放ちながら、敵陣へ加速していくオーバーラップ。左サイドを起点として仕掛けられる、強さとスピードにあふれた攻撃。身体能力の高さを前面に押し出した守備。前回大会でも異彩を放ち、優秀選手に選ばれた桐光学園の左サイドバック、タビナス・ジェファーソンがさらにスケールアップして選手権の舞台に帰ってくる。 ガーナ人の父親とフィリピン人の母親との間で、日本で生まれ育ったジェファーソンは最上級生となった今シーズン、キャプテンの大役を担ってチームをけん引してきた。夏のインターハイ出場を逃しただけに、最後の冬にかける思いは強い。 圧倒的な攻撃力で対面の相手選手を守備に忙殺させ、チームに主導権をもたらすのがジェファーソンのスタイル。それでもまだ潜在能力を解き放っていないホープは、FC東京、磐田、ガンバ大阪などが争奪戦を繰り広げた末に、地元・神奈川の川崎フロンターレ入りすることが内定している。 将来はヨーロッパでプレーすることに憧れている。もっとも、その前にもうひとつ。現在はフィリピン国籍だが、20歳となる2018年にも日本への帰化を申請。「ジェフと呼んでほしい」と屈託なく笑う18歳は、愛着深い日本で開催される東京五輪の舞台に立つ自分の姿をも夢見ている。 ■廣末陸 [GK/青森・青森山田3年/184cm、77kg] 中学生年代は前出の杉岡とともにFC東京U‐15深川でプレーした廣末陸は、身長が足りないという理由でU‐18への昇格を果たせなかった。 進学先として希望したのは、Jクラブのユースと切磋琢磨できる高円宮杯U‐18プレミアリーグの常連校。首都圏の高校も考えたが、練習に参加したときの感触がよく、なおかつ15歳にして「親元を離れて自立したい」という思いを抱き、強豪・青森山田を選んだ。 小学生時代はテクニックのあるフォワードながら、PK戦になるとゴールキーパーを務めた。異色に映る二刀流の経験が、入学直後からレギュラーを拝命してきた3年間で独自のスタイルを確立することにつながる。 足元のテクニックを徹底して磨き上げ、正確無比なフィードで攻撃の起点になる。11人目のフィールドプレーヤーをも兼ねる存在感を最後方から放ち、今シーズンのプレミアリーグイースト最終戦でFC東京U‐18を下して初優勝。同ウエストの覇者・サンフレッチェ広島ユースとのチャンピオンシップでも、PK戦で相手の1人目を止め、自らも最後にPKを決めて初優勝を手繰り寄せた。 自負を込めて「攻撃的なキーパーだと思っている」と自己分析する守護神は、古巣でもあるFC東京入りも内定させて、最後の選手権でチーム悲願の初優勝を目指す。