福田萌がシンガポールに移住して感じた日本の自然災害の脅威と防災意識の大切さ[FRaU]
【編集部注:本記事は2023年8月に刊行した「FRaU SDGs MOOK防災」特集号に掲載された記事となります。令和6年1月1日に発生した石川県能登地方を震源とする地震により犠牲になられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された方々及びその関係の方々に心よりお見舞いを申し上げます。】 2023年末に第三子を出産したことをSNSで報告したタレントの福田萌さん。今回の出産のため日本に帰国していましたが、夫のオリエンタルラジオ・中田敦彦さんと子どもとともに2021年からシンガポールに在住しています。防災について多くの人に発信していきたいという使命感を持つ彼女は、2020年に防災士の資格を取得。主宰しているオンラインサロン『福田萌のママズオンラインサロン』では、家族の防災について考えるオンラインイベントを防災の日がある9月と、東日本大震災のあった3月に定期的に開催しています。防災について考えるようになったのは、東日本大震災がきっかけでした。『FRaU SDGs MOOK防災』(2023年8月発売)のインタビューをお伝えします。
被災地のために何ができるかを 考え続けてきた日々
「2011年の3月11日、都内に住んでいた私は岩手県などで強い地震があったという第一報を聞き、岩手県に住んでいる家族のことが心配で気が気ではありませんでした。すぐに母にメールをしたら『大丈夫』と一言だけ返信があり、そこからしばらく連絡が取れなかったんです。 テレビの中継では、かつて私が訪れたことがある場所が波に飲まれていく映像が流れていて心が痛み不安は募るばかり。その日のうちに家族とは連絡が取れて無事を確認できたのですが、当たり前にあると思っていた家族という存在が、一瞬で消えてしまうかもしれない恐怖を目の当たりにして喪失感を覚えました」
その日から、常に頭の片隅に「被災地のために自分は何ができるのか」という思いを持ち続けていたという福田さん。タレントとして発信できる立場にある以上、被災地の現状を多くの人に届けたいと思い活動を続けた。 「被災地に足を運び、取材をする中で被災した皆さんがおっしゃるのは『自分たちの経験を忘れないでほしい』ということ。この経験を次の教訓として生かして、今後同じような災害が起きた時に一人でも多くの人の命が救えるように、と被災地の方は願っています。私ができることは防災について勉強して、その知識を伝えていくことだと思いました。その活動をしていく中で、防災士の資格を取ろうと決めました」 防災士の資格を取得するためには、日本防災士機構が認証した研修機関が実施する「防災士養成研修講座」を受講。履修証明を得て、資格取得試験を受験する。 「試験では地震や津波だけではなく、台風や豪雨による土砂災害、火山の噴火など多岐にわたる自然災害を想定しています。どういう警報が出たら逃げるべきなのか、ハザードマップを見て自分が住んでいる地域がどのような危険があるのかなど、具体的なことも学べます。防災士として求められるのは肉体的に強い人だと思われがちですが、資格取得のために学ぶのは誰にでも必要な知識です。自分や家族の命を守るためにも、多くの人がこの資格を取ることで意識が向上すると思います」 シンガポールに移住して、日本を客観的に見た時にも改めて、防災意識の向上を推進していかなければならないと感じた。 「私が今住んでいるシンガポールは地震がない国です。台風や津波の被害もあまりなく、引っ越してからまだ一度もそれらを経験したことがありません。だからこそ、日本の自然災害の多さに改めて驚きました」