4人家族、定額減税16万円のところ「調整給付」で6000円トクに?複雑なしくみを税理士が解説
6月から順次開始される「定額減税」。定額減税は、1人あたり年間で「所得税:3万円、住民税:1万円」が減税されるしくみだ。 なお、納める税額が年間4万円未満で、定額減税で減税しきれない人はどうなるかというと、減税しきれない額が「調整給付」として給付される。調整給付の対象となる納税者本人と配偶者等は実に約3200万人にのぼるという。 <定額減税+調整給付の対象者/東京23区等の例> ・単⾝世帯:年収115万円程度~210万円程度 ・本人・配偶者・⼦1⼈(大学生):年収235万円程度~575万円程度 ・本人・配偶者・⼦2⼈(小学生):年収270万円程度~535万円程度 ※内閣府地方創生推進室「世帯類型別の収入水準と各措置の対応イメージ(https://www.chisou.go.jp/tiiki/rinjikoufukin/juutenshien/1_3_1214jimurenn.pdf)」より。単身世帯を除き配偶者控除を適用 調整給付の申請および支給は、対象者が住民税を支払う自治体が実施するため、特に手続きは必要ない。ただし、令和6年分の収入や扶養親族が確定していないため、調整給付は見込み額で支給されるという。 定額減税は1人あたり4万円の減税となるが、調整給付の対象となる場合、最終的に定額減税と調整給付の合計で4万円を超える可能性もある。そのほかにも調整給付が受け取れる場合、定額減税のみの場合よりもトクをすることがあるのだという。一体どういうことだろうか。三宅伸税理士に聞いた。 ●調整給付は1万円単位切り上げのため、定額減税より多く受け取れることも 定額減税の可能額が、「令和6年推計所得税額(令和5年分の所得をベースに市区町村が算定した所得税額)」や「令和6年度分住民税額(均等割除く)」より多いと見込まれる場合は、年末調整を待たずに不足額が調整給付として、市区町村から給付されます。 この給付額は1万円単位で切り上げられるため、定額減税の減税額より支給額が大きくなる場合があります。 以下の家族のケースで考えてみましょう。 <例> 納税者が妻と2人の子を扶養していて、納税者本人の「令和6年分推計所得税額(減税前)」が4000円、「令和6年度分個人住民税額(減税前)」が2万2000円の場合 (1)定額減税可能額(減税対象人数:4人) ・所得税:3万円✕4人=12万円 ・住民税:1万円✕4人=4万円 合計減税額:12万円 +4万円=16万円 しかしこのケースの場合、引くことができる税額が2万6000円しかないため、以下のように調整給付が行われます。 (2)調整給付額 ・所得税分控除不足額:12万円ー4000円=11万6000円 ・住民税分控除不足額:4万円ー2万2000円=1万8000円 調整給付額:11万6000円+1万8000円 =13万4000円 上記の例の場合、算定された調整給付額は 「13万4000円」ですが、実際の支給額は1万円単位で切り上げられるため「14万円」受け取ることになります。したがって、定額減税分2万6000円、調整給付分14万円となるため、定額減税のみ適用される人より6000円多くなります。 ●調整給付額が多すぎた・不足の場合の対応は? 調整給付額は前年の所得をもとに見込みで算定されるため、収入や扶養親族の増減によって給付が多すぎた、または少なかったというケースが生じることがあります。不足額が生じた場合は、令和7年に追加の給付が行われます。一方で、受け取った調整給付が多すぎた場合は返金の必要はありません。 ただし、扶養親族等の増減により定額減税対象者が変わった場合には、年末調整で扶養控除やその他の所得控除を再計算し、必要に応じて追加の税額を支払うか、還付を受けることになります。 ●減税のみで生じる不公平を解消するため制度が複雑に 政府は物価高に対する賃金上昇の遅れを踏まえて、手取りの増加を実感しやすいという判断から、現金給付ではなく定額減税制度を導入したとされています。実際、6月の手取り額が増えたことを実感される方も多いと思います。 ただ、今回お話ししたように、減税という形だけでは対応できないため、現金給付も同時に行われます。 各人はそれぞれ所得、家族構成や働き方等が異なり、一律に減税制度だけでは対応できません。そうした不公平感を生じさせないため、「減税のみ」「減税と給付」「給付」の三つの制度で対応することになったため、制度が複雑化し、事務手続きも煩雑になってしまったのではないでしょうか。 定額減税額が推計される税額より少ないと見込まれる場合は、6月(発送時期は市区町村でばらつきがあるようです)以降に市区町村から送付される「お知らせ」等の内容を確認して、申請の手続きを忘れずに行ってください。 【取材協力税理士】 三宅伸(みやけ・しん)税理士 大阪府立大学経済学部卒業後大手リース会社勤務。クラウド会計の導入をすすめ、インボイス制度や電帳法にも対応できるストレスフリーな事務環境を提供。常にお客様の立場に立って考え共に成長していくことをモットーに法人及び個人の会計税務、起業支援、相続等と幅広く活動している。また、無申告や税務調査のサポート対応も行っている。 事務所名 :三宅伸税理士事務所 事務所URL:https://miyake-tax.jp/
弁護士ドットコムニュース編集部