MF佐藤龍之介がU-19日本代表のTMで2ゴールの活躍。大岩ジャパンに帯同したロス五輪の主役候補が現地で見た新たな世界
その熱をさらに高めるべく、次なる目標に向けて再スタート
現地時間7月17日に行なわれたU-23フランス代表との強化試合。MF佐藤龍之介(FC東京)はパリ五輪に臨むU-23日本代表のトレーニングパートナーとしてフランス南部の港町・トゥーロンにいた。 【PHOTO】ボルドーで行われたパリ五輪男子サッカー初戦に集結した日本代表サポーターを特集!(Part1) 大会前最後の一戦は1-1のドロー決着。コンディションを踏まえ、一部の選手が起用できないなか、28年のロス五輪を目ざす有望株に声が掛かったのは試合終了間際の88分。MF三戸舜介(スパルタ)に代わってピッチに入ると、短い時間ながら貴重な経験を積んだ。 「U-23日本代表の選手はみんなレベルが高かったし、フランス戦の質もめちゃくちゃあったので、あのピッチに立てたことは自分の経験としてすごくありがたい」 ロス五輪世代から選出されたトレーニングパートナー5人の中では唯一の出場。ベンチから見ているだけでは感じられないし、誰もが味わえるわけではない。 「最低でもフランスより強くなっていないと、ロス五輪で優勝できないというのが具体的に分かった。やっぱり、選ばれるだけではダメ」 特別な体験をした佐藤はその熱をさらに高めるべく、次なる目標に向けて再スタートを切った。 19日朝に帰国すると、休む間もなく翌日からFC東京の練習に合流。そして、22日からは来年のU-20ワールドカップ、そしてロス五輪がターゲットになるU-19日本代表の国内合宿に参加し、24日には流通経済大とのトレーニングマッチに臨んだ。 1本目と2本目でフィールドプレーヤーを総入れ替えする形で行なわれ、佐藤は2本目に出場。最前線のFW舩橋京汰(愛媛)をやや下がり目の位置でサポートする変則的な2トップでプレーし、持ち前のサッカーIQの高さを発揮する。 DFと中盤の間でボールを引き出し、正確なパスやドリブル突破でチャンスに関与。守備でもパスコースを限定しながら、相手にうまくプレッシャーをかけるなど、クレバーかつ泥臭い働きでチームを助けた。 18分には舩橋が獲得したPKを冷静に決め、2本目のファーストゴールをゲット。そして、何より素晴らしかったのが、2点目のシーンだ。1点を返されて迎えた28分だ。高い位置で味方がボールを奪って即座に攻撃に移ると、パスを受けた佐藤は単騎で仕掛ける。 「周りを使う判断もあったけど、自分で行ってみようと。ゴールを狙ってうまく抜け出せたので良かった」(佐藤)。ひとりでエリア内まで持ち運び、右足でゴールを射抜いた。 試合は2本合計で4-2。U-19日本代表が勝利し、2得点を挙げた佐藤の貢献度はずば抜けていた。今年9月下旬にはU-20ワールドカップの1次予選を兼ねたU-20アジアカップ予選が控えており、ロス五輪に向けても好スタートを切ったのは間違いない。だが、気を緩めている時間はない。 「(五輪に出場するよりも先にA代表デビューを果たす)気持ちを持っていないとダメだし、そうなっていかないといけない。目標は常に先を見てやっていきたいと思う」とは佐藤の言葉。 U-23日本代表の活動中に佐藤が最も多くサッカーの話したというMF藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)、FW斉藤光毅(スパルタ)らは、24日未明に行なわれたパラグアイとのパリ五輪初戦で躍動し、チームは5-0で勝利を掴んだ。 佐藤の眼に先輩たちの姿はどう映ったのか――。4年後、自分が五輪の舞台立つべく、さらなる成長を目ざして走り続ける。 取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
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