あなたはどちら派?「自律神経の乱れ度チェック」と交感神経優位派の夜のストレッチ
「年間で最も患者さんが集中するのが梅雨の時期から夏にかけての時期」とおっしゃるのは、せたがや内科・神経内科クリニック院長の手堅 司先生。温度、湿度、気圧の変化に自律神経が対応できず、バランスを乱して、体調を崩してしまうそう。まずは、「自律神経の乱れ度チェック」で自分のタイプを知り、タイプに合った「背骨の簡単ストレッチ」で自律神経を整えていきましょう! 【画像で確認】夜3分お休み背骨ストレッチを始める正しい姿勢 教えてくれたのは▷久手堅 司先生 せたがや内科・神経内科クリニック院長。「自律神経失調症外来」「気象病・天気病外来」などの特殊外来を立ち上げ、多くの患者を治療。『面白いほどわかる自律神経の新常識』(宝島社)など著書・監修書多数。 ■夏バテの原因は自律神経の乱れ! 背骨をほぐして整えよう 「日本の梅雨は高温多湿で気圧の変動が激しいという特徴があります。実は、年間で最も患者さんが集中するのがこの時期。温度、湿度、気圧の変化に自律神経が対応できず、バランスを乱して、体調を崩してしまうのです」と語るのは、自身のクリニックに『気象病外来』などの特殊外来を設置し、治療に当たっている久手堅司先生。 自律神経とは、体温を調節したり、内臓を働かせたりと、生きるために必要な機能をつかさどっている神経系のこと。緊張時に働く交感神経とリラックス時に働く副交感神経から成り立っています。 「自律神経が乱れると、汗が出にくくなって体に熱が籠もるので、疲労がたまり夏バテに発展します。この時期に一度でも乱れると、シーズン中ずっと夏バテを繰り返しやすくなるので注意が必要です」 自律神経を整えるには、”背骨”をほぐすことが効果的。簡単ストレッチで夏バテを予防しましょう。 なぜ”背骨”をほぐすの? 自律神経が圧迫から解放されて活性化! 自律神経は背骨の中を通る脊髄から出ているため、背骨周辺が凝り固まっていると圧迫されてしまいます。背骨まわりをほぐすことで、自律神経を調整する視床下部へも酸素や栄養が行き渡るため、自律神経の働きがよくなるのです。 背骨まわりの凝りをほぐす ▼ 脊髄(自律神経の通り道)が圧迫から解放される ▼ 視床下部へ酸素や栄養が運ばれる ▼ 自律神経の働きが活性化! ■夏になると自律神経が乱れる4大原因 屋外と屋内の激しい寒暖差 自律神経は、気温が高くなると体温を下げ、低くなると体温を上げるように働きます。そのため、屋外と屋内の寒暖差が激しい夏は、オーバーワーク状態に。自律神経に負荷がかかり過ぎて乱れやすくなります。 熱帯夜による睡眠不足 質のよい睡眠は、日中に働き過ぎた自律神経をリセットし、回復させる効果が。ところが、熱帯夜によって睡眠不足になると、自律神経は昼も夜もフル稼働! 回復するどころか、ますます乱れてしまうことに。 冷たいものの飲み過ぎ食べ過ぎ 胃や腸は自律神経を介して脳とつながり、お互いに影響し合っています。夏に冷たいものを摂取し過ぎて胃腸の機能が低下すると、そのサインが脳に伝わり、結果的に自律神経にまで悪影響を及ぼします。 強い紫外線による肌への攻撃 体はダメージを受けると、持ち前の免疫力によって修復に取りかかります。この免疫機能を正常に働かせているのが自律神経。夏の紫外線による肌ダメージは、自律神経の過労状態を招き、バランスを崩す原因になるのです。 ■交感or副交感タイプ別「自律神経の乱れ度チェック!」 自律神経が乱れているときは、交感神経か副交感神経のどちらか一方が高すぎたり、どちらも極端に低すぎたりする傾向が。まずは、自分のタイプを判断し、適したストレッチを念入りに行なって。A、B 同じ数ずつ当てはまった場合や、時間があるときは、朝夜両方のストレッチを行なうのが理想。 A □寝つきが悪く、なかなか眠れない、また眠りが浅い □イライラ、ムカムカと気分が落ち着かないことがよくある □慢性的な肩凝り、首凝り、腰痛がある □どうきや息切れ、不安感、胸のざわつきなどがある □パソコンやスマホを長時間使用している □突然の発汗やのぼせ、ほてりがある B □朝起きるのがつらく、すっきりと目覚められない □慢性的に血圧が低く、何となく全身がだるい □手足が冷えやすく、むくみやすい □時々、めまいや立ちくらみがある □花粉症などのアレルギーを持っている □集中力が低下気味で、物事に対して意欲があまり湧かない Aの項目により多く当てはまる人は交感神経優位派 ⇒夜の背骨ストレッチを念入りに行なって Bの項目により多く当てはまる人は副交感神経優位派 ⇒朝の背骨ストレッチを念入りに行なって ■【夜3分】おやすみ背骨ストレッチ 副交感神経へとスムーズに切り替えるストレッチ。夜寝る前に行なうと、背中と胸郭まわりがほぐれ、呼吸も深くなるので、睡眠の質がグーンとアップします。 1.手は肩の下、ひざは股関節の下に置く 両手、両ひざを床につけ、顔を下に向けます。手は肩幅に開き、手首が肩の真下にくるように置きます。ひざは腰幅に開いて、股関節の真下にくるように置きましょう。 2.左手を移動させ右手の指先につける 左手を、右手の先に移動させます。右手と左手は同一ライン上に置き、右手の指先に左手首が触れるようにします。 3.腰を左にひねり右ひじを左ひざに近づける 口から息を吐きながらお尻を落とし、かかとに近づけます。このとき、両手の手のひらは動かさず床につけておくこと。左わきから背中の左側までをじんわり伸ばします。 (1~3を2回。反対側も同様に行なう) ■余裕があればこれもプラス!「胸椎リセット呼吸」 1.あぐらをかき後頭部で手を組む あぐらをかき、背筋を伸ばします。後頭部で手を組み、両ひじと手首がまっすぐ水平になるように保って。 2.息を吸いながら背中を反らして胸を開く 鼻からゆっくりと息を吸いながら、無理のない範囲で背中を反らし、胸を斜め上に向けます。気持ちよく胸を開くようなイメージで行なって。 3.背中を起こし胸を元の位置に戻す 口からゆっくりと息を吐きながら、背中を起こしていき、胸を元の位置に戻します。 (2~3を3回繰り返す) ■自律神経が喜ぶ「夜の習慣」 【その1】ぬるめのお湯にゆっくりつかる お風呂には、副交感神経を優位にし、脳の興奮を抑える効果があります。ただし、お湯の温度が高すぎると、血圧や脈拍を急上昇させ、交感神経を刺激することに。自律神経を整えるには、38~40℃のぬるめのお湯につかって、ゆっくり体の深部まで温めるのがポイントです。 【その2】就寝1時間前からスマホに触れない スマホのブルーライトを夜に浴びると、脳は興奮状態になり、お休みモードに切り替わりにくくなります。また、スマホを見るときのうつむき姿勢は、首や肩の凝りを招き、自律神経にも悪影響。スマホが手元にあるとつい見てしまうので、就寝1時間前からは触れないよう心がけて。 【その3】エアコンの直風から体を守る 平均気温が上昇し続けている現代では、エアコンをつけずに熱帯夜を乗り切ることは、熱中症を招くおそれがあります。ただし、就寝中に体が冷え過ぎると、血行が悪くなり、自律神経を乱す原因にも。薄手の掛け布団を掛けるなど、エアコンの風が直接当たらないように工夫を。 * * * 普段あまり伸ばすことのない、肩、背中、脇の下がじんわり伸びてポカポカしてきました。しんどくないストレッチなので、夜3分の習慣にしていきたいです! 撮影/布川航太 ヘア&メイク/斉藤節子 モデル/横川莉那 イラスト/かりた 編集協力/オフィス・エール 文=徳永陽子