会社では「重要なポスト」にいた父親が定年退職したとたんに家にこもりがちに。友人もいないし、「認知症」にならないか心配です。
健康長寿を目指すためには社会参加も
厚生労働省によると、2024年の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.14歳で前年に比べて男性0.04年、女性0.05年延びました※1。「いつまで生きられるか」という平均寿命も大切ですが、近年言われているのは、日常生活に制限のない期間をあらわす「健康寿命」を延ばすことです。 双方の差は2019年で男性8.73年、女性12.06年です※2。いくら長生きしても、要介護状態では本人はもちろん家族も大変です。精神的だけでなく、経済的な負担も心配です。要介護度別の1人当たりの介護サービスに掛かる費用(月額)は、図表のとおりです。 (図表)
その差を少なくして“ピンピンコロリ”を目指すため、フレイル予防に注目が集まっています。フレイルとは、年齢を重ねて心身や心が衰えた状態のことです。 このまま放置していると要介護状態になってしまう危険があります。ですが、この段階で対策すれば元気な状態に戻ることも可能です。 健康長寿の秘訣ブック(東京大学 高齢社会総合研究機構)※3によると、フレイル予防の3本柱は、(1) 栄養、(2) 運動、(3) 社会参加だそうです。まずはこれらを意識してみてはいかがでしょうか?
フレイル予防の一歩は夫婦の会話から
Aさんのご相談、実はわが家も重なるところがあります。夫がリタイアして、2人の生活は様変わりしました。今までは家事をしなかった夫ですが、徐々に調理にチャレンジしています。 例えば、合わせ調味料のパッケージには、材料や作り方が記載されています。これを利用すれば簡単に「今日は僕が作った一皿」の完成です。私に指図されることもありませんので、満足度は高いようです。 Aさんのケースでは、ご両親にまず、おふたりで一緒にスーパーに買い出しに行くことから勧めてみてください。食べることは重要です。時間はあるはずなので、食材を吟味し調理する過程に興味を持ってもらえば、もしかしたらお父さまも料理を始めたいと思うかもしれません。 また、近隣を散歩すれば近所付き合いのきっかけも期待できますし、フレイル予防の3本柱は、意外と簡単にクリアできるかもしれません。 内閣府 令和6年版高齢社会白書※4によると、65歳を対象にした「親しくしている友人・仲間がいるか」の質問に対し、たくさんいる:7.8%、普通にいる:39.0%、令和5年度の回答はこのような数字で、平成30年度に比べて大きく減少しています。おそらくコロナの影響があるのではないかと考えます。 地域で参加できるイベントなども復活しています。“ご近所デビュー”も視野に入れ、セカンドライフを楽しむ情報収集をしてみてはいかがでしょうか。 出典 (※1)厚生労働省 令和5年簡易生命表の概況 (※2)厚生労働省 健康日本21(第三次)の推進のための説明資料 2.具体的な目標 (※3)東京大学 高齢社会総合研究機構 健康長寿の秘訣BOOK (※4)内閣府 令和6年版高齢社会白書 第3節 <特集>高齢者の住宅と生活環境をめぐる動向について 厚生労働省 介護給付費等実態統計月報(令和6年1月審査分) 執筆者:宮﨑真紀子 ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
ファイナンシャルフィールド編集部