立民の補正予算修正案の一部を自民が受け入れ 主役を奪われた「眠れる獅子」が目覚めるか
自民党の坂本哲志、立憲民主党の笠浩史両国対委員長は11日、国会内で会談し、立民が衆院に単独提出した令和6年度補正予算案に対する修正案の一部を自民側が受け入れることで合意した。自民側が立民案を反映した補正予算案を衆院に提出する見通しで、12日の衆院通過が確実な情勢となった。立民は先の衆院選で躍進しながら、野党の主役の座を国民民主党に奪われ、見せ場を作れていなかった。「眠れる獅子」の目覚めとなるのか。 立民が衆院に単独提出した修正案は、一般会計総額が約13兆9千億円となる政府案に対し、能登半島地震の復旧・復興のために予備費残高から1千億円を積み増すことが柱。公費解体の対象拡大や越冬対策などを盛り込んだ内容で、自民は復興予算の拡充については受け入れた。 一方、宇宙開発や半導体関連などに関する25の基金について、緊急性が低いとして拠出額を約1兆3600億円減らすよう求めていたが、自民側は拒否した。立民の重徳和彦政調会長は修正案提出の意義について「少数与党である自公政権に対して非常に強いメッセージになる」と述べた。 衆院選後、「年収103万円の壁」引き上げなどを掲げ、与党に要求を突き付ける国民民主が話題をさらい、立民は「野党の盟主」としての存在感を示せなかった。11日には自民、公明、国民民主が「年収103万円の壁」引き上げなどの合意にこぎつける一方、政治改革を巡っても立民は目立った実績を挙げられなかった。 立民国対中堅は「少数与党の国会ではワーワー騒がなくても、われわれの要求はすっと通る。お願いしたいことがあれば、譲るところは譲るのが礼儀。今回は肩慣らしみたいなものだ」と余裕を見せた。自民国対幹部は「熟議の国会だし、立民は最大野党でもある。丁寧に丁寧にやる必要があった」と語りつつ、来年の通常国会での7年度予算案の審議を見据えた立民への配慮と説明した。 一方、日本維新の会は11日、補正予算案を撤回し、組み替え編成を求める動議を衆院に提出した。吉村洋文代表(大阪府知事)は同日、大阪府庁で記者団に「維新の考え方を示したい。能登の復興強化、高校授業料の無償化を補正予算案の議論の中で打ち込んでいきたい」と述べた。(千田恒弥)