20・30代の今後のライフプランはどうするべきなのか? 2070年の人口ピラミッドから考えられる事象をFPが解説
厚生労働省が「令和5年(2023)人口動態統計 月報年計(概数)の概況」を発表しました。 この統計結果からは、2023年の合計特殊出生率が史上最低の1.20になったことが報道で大きく取り上げられましたが、この数値に衝撃を受けた方も多かったのではないでしょうか。 この数値は、少子化が予想を上回るペースで進んでいることを物語っています。しかし同時に、「今後は高齢者数が増え子どもの数は減っていく」と仮定した場合、私たちはライフプランを大きく見直す必要に迫られることを意味しているのではないでしょうか。
わが国は、最低でも、あと46年は人手不足が続く可能性が高い?
私たち日本人は共通認識として、日本の人口が将来どのように推移していくかについて、知っておいたほうがよいように思われます。図表1は、国立社会保障・人口問題研究所が推計した「人口ピラミッドの変化(総人口)」ですが、令和2(2020)年と令和52(2070)年を比較したものです。 図表1 人口ピラミッドの変化(総人口)
出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計) 結果の概要」 2070年は、今から数えて46年後です。今20歳の人が66歳で、高齢者になっている年に当たります。今30歳の人であれば76歳となり、後期高齢者の仲間入りをしています。そして、今40歳の人なら87歳と、現在の女性の平均寿命に到達している年です。それ以上の年齢の方々は増加傾向にあり、この影響は2070年の人口ピラミッドで明確に示されています。 もうひとつ、2070年のグラフから分かることは、総人口が減っている点です。 特に、生産年齢人口に当たる15歳から64歳までの人たちと、65歳以降80歳ぐらいまでの人口が減少しているのが確認できます。人口ピラミッドの形状は2020年から2070年にかけて、極端な逆三角形から傾斜の滑らかなツボのような形に変わっており、2070年の人口ピラミッドでは年代別のバラツキが少なくなっているように見えます。 つまり、「総人口は減りながらも、世代間のバランスが取れていく」という縮小均衡に入っていくことを、このグラフは物語っています。 このように見ていくと、わが国の社会保障制度における問題はいずれ解消されていくのだろうと思われますが、このグラフで注目すべき点は、総人口は減りつつも、高齢者の寿命が延びていることと、出生数の推計次第ではシナリオが変わってくるという点です。 2070年の80歳以上の人口を見てみると、男女ともに人口増が見て取れます。これは、医療技術の進歩などによる長寿化の影響といえるでしょう。 また出生数については、「低位推計(出生率が将来低く推移すると仮定する)」「中位推計(出生率が将来も直近の水準・傾向を示すと仮定する)」「高位推計(出生率が将来高く推移すると仮定する)」の3つのシナリオが描かれています。 仮に出生数の実数値が「低位推計」に寄っていくならば、縮小均衡すら保つことができない状況になるだろうと考えることができます。 つまり、問題は高齢者の数に比べ、子どもの数が少なすぎるという点です。今後、このような傾向は続く可能性が高いと考えられますが、経済においても、社会福祉においても、人手不足の問題が拡大していくことが推論できます。