「スポーツエコシステム推進協議会」設立記念イベント 「日本のスポーツに対する海外からのベッティング規模は年間5~6兆円」と分析
DX(デジタルトランスフォーメーション)時代のスポーツ産業振興などを目的として今年1月に設立された「スポーツエコシステム推進協議会」が4月19日、東京都渋谷区で設立記念イベントを開催した。 新型コロナウイルスの影響でチケット収益が激減する中、世界に目を向けるとDXを活用したベッティング(賭け)やファンタジースポーツ、NFT、スポーツトークンなどが新たな収益源となっている。しかし、日本は法規制などの影響で、この分野で後れを取っているのが現状で、同協議会の分析結果によると、日本のスポーツコンテンツに対する海外からのベッティングは年間5~6兆円に上るが、日本のスポーツ界への還元はほとんどなく、大きな逸失利益になっているという。 こうした中、民間企業59社(19日現在)からなる同協議会は、あるべきビジネスモデルや法制度の在り方などを提言という形で情報発信しながら、新たな市場を作り、スポーツ振興や地域課題の解決につなげていくことを目指している。 この日行われた設立記念イベントでは、協議会の事務局長を務める稲垣弘則弁護士(西村あさひ法律事務所)が協議会の趣旨を説明した後、「グローバルで進むスポーツDXのメガトレンド」「地域とスポーツの未来」「スポーツリーグと新しいエコシステムの可能性」の順に3つのトークセッションが行われた。 最初に行われたトークセッションでは、同協議会のアドバイザーでもあるフェンシング五輪銀メダリストで国際オリンピック委員会(IOC)委員の太田雄貴さんや元ロサンゼルス・ドジャース球団職員でスポーツビジネスコンサルタントの佐藤弥生さんらが登壇した。 太田さんはスポーツベッティングについて「放映権(の金額)は、ベッティングがないとプレーのクオリティに依存する。しかし、ベッティングがあると、プレーのレベルだけに依存しないというのがものすごく重要なポイント。プレーの質を追い求めるだけではない、新しい切り口が出てくるというのがものすごく大きなところだと思っている」と述べた。 また、佐藤さんは会場へのメッセージとして「パンデミックで、世界でもスポーツが完全にシャットアウトされて、収益が落ち込んだ。しかし、そこからのカムバックが非常に速かった。そして、コロナ前よりも進化している状況がある。窮地に立たされた時に、それまでご法度としていたようなものを思い切って解禁しようという動きがみられたことで、新しいビジネスが生まれ、収益が拡大していった。日本もこれから世界に追いついていくために、こういう協議会が発足したのは素晴らしいことだと思う」と話した。