「ダブルエース」から「3本柱」へ 全日本大学駅伝関東地区トップ通過の東海大学で、中心を担う3年生たち
兵藤ジュダ「力不足が目立ったレースだった」
3組は鈴木天智(そらち、3年、一関学院)と今季の主将を務める梶谷優斗(4年、滋賀学園)が走った。東洋大の石田洸介(4年、東農大二)や早稲田大の伊藤大志(4年、佐久長聖)、順天堂大学の吉岡大翔(2年、佐久長聖)が積極的な走りを見せる中、2人は5、6番手につけて追走。ハイペースとなり4000m手前で集団が前後にくっきりと分かれても、2人ともしっかりと前方の集団に入った。組トップこそ28分台で走りきった石田に譲ったものの、鈴木は6着、梶谷は11着でフィニッシュ。3組を終えた時点で2位の東洋大とは18秒差をつけ、トップで最終4組を迎えた。 よほどのブレーキやアクシデントがない限り、選考会通過は手堅い状況となり、最終4組に花岡と兵藤が登場。2人は指導陣から「自分たちでやりたいレースをしていい」と言われ、「無理なく2人で行ってラスト5周で一緒に仕掛けよう」と打ち合わせた。 他校の留学生選手や中央学院大学の吉田礼志(4年、拓大紅陵)、早稲田大の山口智規(3年、学法石川)といった実力者が抜け出す中でも、慌てることなく集団の中でレースを進めた。ただ、2人にも不安がなかったわけではない。花岡は選考会の5日後に日本選手権男子5000mを控え、兵藤は関東インカレのレース後に左股関節への不安を明らかにしていた。兵藤は組12着、花岡は組16着でフィニッシュ。「仕掛けるときにはちょっと余裕がなかった」と花岡が振り返れば、兵藤は「いざ走ってみると、ラップと体の状態に意外とギャップがあって……。勝負に行って散々な結果だったので、またイチから練習をやり直したい」と悔しがった。状態は「6、7割ぐらいだった」という兵藤。それでも「出たからには言い訳は一切できない。力不足が目立ったレースだった」と振り返った。
鈴木天智「3本柱と呼ばれるように」
昨シーズンまでは石原翔太郎(現・SGホールディングス)という大きな柱がいた。石原が卒業した今は、その座を3年生たちが争っている。館澤亨次、鬼塚翔太、阪口竜平ら「黄金世代」に憧れて東海大の門をたたいた世代だ。 現状は花岡と兵藤の「ダブルエース」。そこへ鈴木が「3本柱と呼ばれるように、2人に勝ちたい」と意欲を燃やしている。年始の箱根駅伝では3区を走り、区間15位と苦しんだ。「花岡とジュダと練習して『1回も遅れていないのに、どうして結果が出ないんだろう』とずっと悩みながら練習してきました。花岡からは(本番)1週間前からの調整だったり、ジョグのペースだったりのアドバイスをもらっていました。自分も少しずつ成長できているのかなと思います」 3年生世代は両角監督からの期待も高い。「今回は半分が3年生でしたので、今後も中心になっていくのかなと思います。お互いにライバル心を持っていますし、特に兵藤と花岡は同一レースで初めて走ったんじゃないかな」。11月の伊勢路本戦に向けて、兵藤は力強く言った。「来年、この大会には戻ってこない」
第56回全日本大学駅伝対校選手権大会 関東地区選考会
6月23日@相模原ギオンスタジアム(神奈川) 1位 東海大学 3時間55分28秒21 2位 東洋大学 3時間55分37秒45 3位 早稲田大学 3時間55分50秒18 4位 日本体育大学 3時間55分55秒62 5位 立教大学 3時間56分19秒26 6位 帝京大学 3時間56分45秒83 7位 神奈川大学 3時間57分33秒67 ----------ここまで本戦出場------------ 8位 明治大学 3時間57分49秒31 9位 日本大学 3時間58分33秒67 10位 山梨学院大学 3時間59分04秒04
井上翔太