内閣、コンテンツ産業協議会で「輸出規模は鉄鋼業に匹敵」「アニメが強み」「日本IPの優位性」現状を把握 庵野秀明氏ら民間委員も出席
内閣官房は9日、アニメやゲーム、映画などのコンテンツ産業の強化に向け「コンテンツ産業官民協議会」「映画戦略企画委員会」を合同で実施した。会合には岸田文雄首相に加え、映画監督の庵野秀明氏、カプコンの辻本春弘社長、バンダイナムコフィルムワークスの浅沼誠社長らが出席。 【画像】約半数が日本IP…キャラクターランキングやアニメ海外売上高、日中韓での強み比較…内閣官房発表資料(PDF含む) 本協議は成長と分配の好循環、コロナ後の新しい社会の開拓を基調に「新しい資本主義」の創造を目指すべく設立された「新しい資本主義実現本部」が主導となって開いているもので、各分野から業界動向や今後の課題などがそれぞれ提言された。 協議で用いられた資料は内閣官房のホームページより確認できるが、なかでも資料3にある「基礎資料」はコンテンツ産業における現在地を網羅的に示すものとして、非常に有用な内容になっている。
アニメと家庭用ゲームは日本優位、産業従事者必見の資料
たとえば、コンテンツ産業の世界市場と自国の国輸出額規模とを説明した図表によれば「世界のコンテンツ市場の規模は、石油化学産業、半導体産業よりも大きい」「日本由来コンテンツの海外売上は鉄鋼産業、半導体産業の輸出額に匹敵する規模」と言及した。国内での輸出規模感として、コンテンツ産業は計4.3兆円に対して、鉄鋼産業は5.1兆円、石油化学産業(2021)は1.5兆円と比較している。 また、近隣の東アジア諸国との市場動向を比較したものでは、「日本はアニメ、家庭用ゲームの海外収入では中国、韓国に勝り、実写映像の海外収入では韓国を下回る」「PC・スマートフォン向けゲームでは中国・韓国を下回る」と分析。 アニメに関しては、海外からの映像収入においても「アニメが8割」と説明。アニメ制作会社の海外売上高は増加傾向(856億円)にあり、海外の地上波放送や有料チャンネル放送において、 「ドラゴンボール」、「ポケットモンスター」等が継続して放送されていることが理由にあるなど、特出した強みである事が示されている。 アニメやゲームなどを含めた、キャラクターのIP(知的財産)に関する現況として、市場規模ランキングにおいて「ポケモン」「ハローキティ」「それいけ!アンパンマン」「少年ジャンプ」「マリオ」「ドラゴンボール」「機動戦士ガンダム」の7コンテンツが上位17位を占める。 資料ではそのほか、音楽分野、テレビ放送による収益減退に相反するストリーミングの隆盛、電子書籍等の成長、コンテンツツーリズムといった各方面から総合的に現在地を説明しており、エンタメ産業従事者には必見な内容になっている。
編集部 経済・社会担当