なぜ エナジードリンク 市場は投資家に注目され続けるのか。新潮流は新たな成分と高カフェイン
活気づく投資家たち
コエフィシエント・キャピタル(Coefficient Capital)のパートナーであるアンナ・ホワイトマン氏は米モダンリテールに対し、投資家が、食品・飲料、美容、ウェルネスなどを問わず、特定のCPGカテゴリーを反映した、よりテーマ性の高いポートフォリオを構築しようとする傾向もまた強まっていると語った。それに伴い、エナジー飲料のようなサブカテゴリーにも注目が集まっているが、ホワイトマン氏は、この分野にはまだ新たな企業の成長余地があると述べた。たとえばコエフィシエント・キャピタルはゴージーを支援している。 さらにホワイトマン氏は、さまざまなタイプの人々に向けて配合を微調整することで、「カテゴリーを改善」する機会が残されているという。「現在市場に出回っているエナジードリンクのほとんどが、一般的に男性向けかセルシウスが始めたようなワークアウト重視の消費者向けのメッセージになっている」。 ほかの投資家も新たなエナジードリンクのブランドに可能性を見出しており、大型の投資ラウンドが難しい時期であってもそうしたブランドを十分に支援している。 アレシアのパートナーであるテイラー・フォックスマン氏によると、2020年以降、CPG分野はサプライチェーンの課題や高金利、資金不足といった問題によって困難な状況に陥っている。その結果、資金不足のブランドは新製品の開発や人材雇用の削減を余儀なくされ、CPGのイノベーションが低下している。とはいえ「機能性飲料のようなものの成長にみられるように、イノベーションに対する消費者の需要はなくなってはいない」とフォックスマン氏は言う。同氏のファンドは、エナジードリンク分野でヘイウェル(Heywell)やキーといったブランドを支援してきた。
ひとつのトレンドに依存しすぎない
アレシアのようなファンドは機能性成分を実験しているブランドに狙いを定めているが、一過性のマイクロトレンドに過度に依存しているわけではない。「ヘイウェルやキーといった企業に投資する大きな理由のひとつは、どちらも長期的なポジションにあるからだ」とフォックスマン氏は言う。両ブランドとも、脱水症状や集中力向上など、複数のメリットをもたらすと同氏は述べた。キーの場合、発酵ケトンは代謝の改善や精神集中の向上など、健康面での効果があることでも知られている。フォックスマン氏いわく、製品の配合だけでなく、ブランドの創業者たち自身も大きな魅力だった。「創業者たちも飲料業界のプロであり、競争の激しいCPG、特に飲料業界で生き残るためには何が必要かを知っている」と同氏は述べた。 フォックスマン氏の意見では、機能性飲料や天然エナジードリンクのブランドの多くは、単一の成分や個別の用途に力を入れすぎている。そのため、トレンドの需要が変化して規模の拡大が妨げられた場合に方向転換ができない。 「ヘイウェルの提案は、水分補給だけでなく、気分や免疫をサポートするといった成長分野が組み合わさっている」とフォックスマン氏は述べた。ヘイウェルは2022年にエンジェル投資でローンチした後、2月には金額は非公開だが資金調達を行っている。同社は現在フレーバーのプロファイルを拡大しようとしており、この夏にはレモンフィズのSKUをローンチする。 したがって、市場に新規参入した多くのエナジーブランドにとっての秘訣は、成分で差別化を図りつつも、ひとつのトレンドに依存しすぎないというバランスを見つけることである。それを新規ラインアップと製品拡大を通じて行うというのも方法のひとつだ。