「TikTok」は売れる? 「TikTok shop」の仕組み+活用法+現在地を米国EC企業の事例に学ぶ
中国のバイトダンス社は、動画共有アプリ「TikTok」上で商品やサービスを販売できる「TikTok shop」を2023年9月、正式に米国での運用を始めました。「TikTok shop」を活用するEC事業者は、売り上げにその影響が表れています。EC事業者が「TikTok shop」を利用する際のメリットや注意すべきポイントを解説します。
「TikTok shop」に多くの小売事業者が注目
家電・電化製品を展開する米国EC事業者であるNewegg Commerce(ニューエッグ・コマース)は、2023年12月中旬から年末年始までのホリデーシーズンに、ライブショッピング戦略の一環として「TikTok shop」を全面採用。24時間のライブストリームショッピングイベントを実施しました。 「TikTok shop」で販売したゲーミング機器の好調な売り上げが、2023年12月期第4四半期(2023年10-12月期)の好業績をけん引したそうです。 ニューエッグで他社などのデジタルコンテンツ制作を支援するチーム「ニューエッグスタジオ」のディレクターであるドリュー・ローダー氏によると、「TikTokは、これまでにニューエッグで買い物をしたことがない人々にを知ってもらう素晴らしい方法です」と言います。 2024年のEC業界では、「TikTok shop」がより大きな役割を担うことになると考えられます。ニューエッグだけでなく他の小売事業者も「TikTok shop」を開設するかどうか、また、開設した「TikTok shop」をどのような活用方法がベストなのかを模索しています。
「TikTok shop」の仕組みと利用状況
「TikTok」の広報担当者によると、「TikTok shop」は20万以上の販売業者と10万人以上のクリエイターが、アフィリエイトプログラムを通じて商品を販売しているそうです。 「TikTok shop」には、ショッピング機能付きの動画からアクセスできます。小売事業者やクリエイターが動画やフィードに商品をタグ付けすると、視聴者はアプリ内で直接商品を購入することが可能。インフルエンサーなどは、プロモーションを通じた売り上げに応じて歩合の報酬を受けとることもできます。 また、バイトダンス社は、「TikTok Shop」と連携した物流サービス「Fulfilled by TikTok(FBT)」も提供しています。 ■ ホリデーシーズンに新規500万人が流入 バイトダンス社は「TikTok Shop」の流通総額を公表していませんが、ホリデープロモーションの期間中、2023年11月だけで500万人の新規顧客が「TikTok Shop」で商品を購入したそうです。 この期間中、「TikTok Shop」を運用する小売事業者などは「#ブラックフライデー」「#サイバーマンデー」のハッシュタグを付けたショッピング機能付きのショート動画を26万2000本作成。再生回数は25億1000万回に達しました。ショッピング機能付きのライブ配信は、この期間に228億回の再生数を記録しています。 ■ ユーザー層は購買意欲の高い人 「TikTok」の米国ユーザー数は現在、1億5000万人です。「TikTok」は、特に若い女性消費者の買い物の意思決定に今後も大きな役割を果たす可能性が高いと言えます。 米国のデータ分析会社であるモーニング・コンサルトのブランドアナリスト、エリン・ブリッグス氏は「TikTokのユーザーは買い物に意欲的な消費者であることが証明されています」と米国のEC専門誌『DigitalCommerce360』の取材で話しています。 ┌────────── 「TikTok」は、オンラインと実店舗の両方で、平均的な消費者よりもたくさんの買い物をする消費者のためのショッピングガイドのような役割を果たしています。(ブリッグス氏) └────────── また、Z世代にとって、「TikTok」は好みのブランドを見つけるきっかけの1つです。Z世代は他のどの世代よりも新しいブランドの購入に意欲的。米国の調査会社モーニング・コンサルトのデータによると、自分がこれまでに買ったことがないブランドから商品を購入する購買意欲が、Z世代は77%となっています。