センバツ2023 2回戦 城東 がむしゃらに前へ 初聖地、大健闘も及ばず /徳島
第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第5日の22日、21世紀枠選出の城東(徳島)は東海大菅生(東京)と対戦し、序盤先行しながら2―5で逆転負けした。春夏を通じて初の甲子園ながら、昨秋の東京都大会覇者を相手に終始ひたむきなプレーを繰り広げた選手たちに、アルプス席だけでなく球場全体から大きな拍手が送られた。【山口敬人、来住哲司】 「塁に出たらチャレンジ精神を持って相手を崩していきたい」。主将の森本凱斗(かいと)が試合前に語っていたように、城東は機動力を武器に序盤攻勢をかけた。 一回、先頭の加統蒼真(かとうそうま)が遊撃内野安打で出塁。続く吉田優はバントで走者を送れなかったものの、「すぐに気持ちを切り替えた」とすかさず二盗を決め、4番・岡一成の内野ゴロでの先制劇をお膳立てした。 強豪相手に先取点を奪い、バス16台などで駆け付けアルプス席を埋めた大応援団はお祭り騒ぎ。阿波踊りで喜びを表現した。野球部OBで応援団長を務めた西田琢真さん(20)=徳島大2年=は「すごい盛り上がり。この勢いで行ってほしい」と笑顔を見せた。 応援に後押しされるように、城東は同点とされた直後の二回にも魅せた。1死二塁で走者・森本が、相手捕手が投球をわずかにそらしたすきに三塁を陥れ(記録は暴投)、長谷鴻志郎のスクイズで勝ち越しのホームを踏んだ。 三回に逆転されたが、先発・清重登揮、三回途中から救援した岡の両右腕が粘りの投球を続けた。捕手・森本、中堅・加統らも好守備を披露した。 1996年4月に創部した硬式野球部の初代主将、平田誠人さん(44)はアルプス席で試合を見守った。「甲子園出場という長年の夢をかなえてくれた後輩たちにありがとうと言いたい。力の限りを出し切った素晴らしい試合だった」。大健闘した選手たちをねぎらった。 ◇気迫の粘投 ○…「気合を入れるため」と試合前日に頭をT字カミソリでそり上げた岡。その決意通り気迫のこもった投球でロングリリーフをこなした。三回に2―3と逆転され、なお続く無死一、三塁のピンチで登板。「一つずつアウトを」と緩急を利かせて犠飛での1点でしのぐと、その後も走者を出しながらも粘投。6回1失点と役目を果たした。打っても4番に座る2年生。この日は2併殺打を喫したこともあり、「投打でチームに貢献できる選手になりたい」と誓った。