ニホンオオカミの謎に迫る中学生研究者・小森日菜子さん
近年まで、 ニホンオオカミの同定は、 主に頭骨の形状によって進められてきた。ライデンの3体の標本のうち、すでに1体はイヌと同定されている。残る2体について、今年2月に発表された最新の核DNA解析による研究では、1体はニホンオオカミ、タイプ標本はニホンオオカミとイヌの交雑種という結果が出ている。 「ニホンオオカミは、調べていくほど謎が深まる。剥製ごとに個体差が大きく、姿もまるで違う。そんなミステリアスなところにもひかれます」
今回のM831の特定により、埋もれていた標本や資料がさらに発見され、研究素材が豊富になることを願う日菜子さん。今後、ニホンオオカミを形態分類学と資料面から研究していきたいと抱負を語る。 高校・大学にと進学するにつれ視野が広がり、他分野の研究者との接点も増えてくるだろう。これまで以上に広く深くニホンオオカミに迫り、いつの日かその謎を解き明かしてほしいと期待している。
【Profile】
林 道子 HAYASHI Michiko 写真家。東京都生まれ。東京藝術大学美術学部卒(美学美術史専攻)。企業宣伝部勤務の後、東京工芸大学芸術学部写真学科にて研究生修了。以降、フリーランスの写真家として活動中。近年では、人間と自然の関わりと断絶をテーマに写真プロジェクトに取り組んでいる。ニホンオオカミと狼信仰についての手製本の写真集「Hodophylax: The guardian of the path」(2017年)で、2018年 KYOTOGRAPHIE インターナショナルポートフォリオレビュー「FUJIFILM AWARD」大賞受賞、TOKYOGRAPHIEオープニングプログラムにて写真展『Hodophylax~道を護るもの~』開催。2019年 Belfast Photo Festival Open Submissionファイナリストなど。