里帰りしたまま帰ってこない…民法が定める「夫婦同居義務」の注意点【離婚専門弁護士が解説】
親権と養育費
配偶者が子どもを連れて里帰りしたまま戻ってこなくなるケースでは、そのまま子どもとも会えなくなってしまう可能性も考えられます。 離婚理由が相手にあっても、親権がとれるとは限らない 離婚の際「親権」はどうなるのでしょうか? 出て行った配偶者に悪意の遺棄が成立したら、出て行かれた側が親権をとれるのでしょうか。 法律上、子どもの親権についての考え方は、離婚の有責性と連動していません。有責配偶者であっても、子どもの親権者として適切であれば親権者になることが可能です。不倫して離婚原因を作った側の親であっても、養育能力が高ければ親権者になれます。子どもの親権者として優先される事情は以下のとおりです。 ・これまでの養育実績 ・現在の子どもとの関係 ・子どもの現状(現在同居している親が優先される) ・乳幼児なら母親が優先される ・健康状態 ・住環境、経済力 ・将来の育児に対するビジョン ・離婚後、どの程度子どもと接して生活できるか 特に重要視されるのが「子どもの現状」や「離婚後、どれだけ子どもと接して生活できるか」という点です。離婚時に子どもが落ち着いて生活をしていれば、あえてその環境を変えずにそのまま同居親が親権者として認められることも考えられます。 養育費…夫婦の問題と親子の問題は別 家を出て行った配偶者の悪意の遺棄によって離婚になり、慰謝料が発生するような事案で、出て行かれた側が出て行った側に養育費を払わねばならないのは不合理なように思えます。 しかし法律は「夫婦の問題と親子の問題は別」という考えをもっています。「家を出て行った親が悪くても、それについて行った子どもには責任がない」ということです。そのため、悪意の遺棄が成立する場合でも、親権者にならなかった側は出て行った元配偶者に子どもの養育費を払わねばなりません。 面会交流 親権者にならなかったほうの親には「面会交流権」が認められます。これは、子どもと定期的に会って交流する権利です。相手が「会わせない」と主張する場合、家庭裁判所で「面会交流調停」を行って子どもとの交流を実現できます。
迷ったら弁護士に相談を
配偶者が里帰りしたまま戻ってこなくなったようなケースで、重要なポイントは以下のとおりです。 ・離婚するのか ・慰謝料を請求できるのか(するのか) ・子どもの親権者になるのか ・養育費や面会交流をどのように取り決めるか 1人で迷われたときには、お近くの弁護士にご相談ください。 白石 英恵 Authense法律事務所
白谷 英恵