真の黒ファッションを求めて…三陽商会とセーレンが生地開発 マッキントッシュロンドンやポール・スチュアートの服にも展開
アパレル大手の三陽商会(本社東京)はセーレン(本社福井県福井市、川田達男CEO)と共同で、特殊な染色技術や加工で通常より深みのある“真の黒”を実現した合成繊維生地を開発した。ブランド横断商品群「BLACK OF BLACKs(ブラック オブ ブラック)」として、上質感と品格のある秋冬の装いを提案している。 合成繊維は、アウターなどで幅広く使われている素材だが、天然繊維に比べて濃い黒の染色は難しいという。三陽商会が2022年からセーレンとの研究を開始し、約2年がかりで商品化につなげた。 深みのある黒を実現するため、染めやすさなどを考慮して糸を厳選。染色濃度と色落ちのしにくさを両立するセーレンの独自技術を活用し、染料や薬剤の種類、量、加工温度の微調整を重ねた。さらに、生地からの光の反射を抑える樹脂加工を施した。色の明るさを示す指数では、セーレンの「濃い黒」の基準が17以下のところ、同商品群では14・5~16・1という値を達成した。 24年秋冬はナイロンやポリエステルなど5種類の生地で、「マッキントッシュロンドン」や「ポール・スチュアート」など三陽商会の10ブランドでそれぞれ1アイテムを展開している。男女それぞれステンカラーコートやロングダウンコートなどがあり、5万5千~21万3400円(税込み)。 三陽商会の担当者は「10月から先行展開している商品はコートの中でも売れ行きがよく、客の関心も高い。また、ほかの生地メーカーからの問い合わせも多い」と話す。 全国百貨店や同社の公式オンラインストアで取り扱っている。25年春夏アイテムでも展開を予定しているという。