薪の炎と食材が織りなす絶妙なハーモニー! 新進気鋭のシェフが作る独創的な料理の世界に迫る
本田:年に3カ月は休みにして、海外に行く。
鍬本:今はインプットに対してものすごく強欲になろうと思っていて。お客様が離れるのではというお声もいただいているんですけど、そんなことをもう気にしていられないぐらい今はインプットがしたい。今見に行かないと絶対動けなくなるというのがあります。旅に行って帰ってくると、本当に自分の中でも何かが変わっていくのがわかるんです。向こうに行って何かチャレンジすることで、必ず何か得られる。例えば、ナポリでたまたま会ったバーテンダーの方にコラボレーションを持ち掛けられて、それでメキシコに行って、料理をしてきました。韓国のイテウォンでは、たまたま立ち寄ったワインバーで隣に座った方がそのバーのオーナーの知り合いで、コラボレーションしようとなって、サクッとイベントをしてきました。そういった旅先での偶然から始まるコラボレーションとかは、やみつきになる緊張感がありますね。違う国の方々に食べてもらう。やめられない感覚があります。
本田:峻は料理人だけど、食べるのも好きだし、旅も好き。これからの新しいシェフの形かもね。 鍬本:自分がシェフだという感覚はなくやっているのかもしれません。知らない味に出会うと自然とテンションが上がるんです。
本田:その感覚をこうやって料理という形に落とし込める人なんだよね。 鍬本:そういう感覚でしかできない。自分の料理にルールのようなものは本当にないので。
鍬本:この間の旅から帰ってきて思ったのは、自分はまだスタートラインにも立ててないんだなということ。そこはしっかり自覚して、目標を2年後、3年後に置いて、いろんな経験をしていくつもりです。今は、ガスも入れてなかったり、メニューもおまかせコースだけだったりといろいろ縛りを作っていますが、これもしたい、あれもしたいというアイデアがいっぱい出てくるので、それをしっかりまとめていきたい。今32歳なんですが、35歳のときに自分が思うベストをしっかり固めて、形にして、熊本で作りたいっていうのがあります。熊本という街がもっと盛り上がれるようなお店をつくりたいですね。 本田:お客さんは熊本の人が多いの? 鍬本:25歳のときから始めたお店の方たちが、今でも来てくださっています。でも、最近は県外の方がかなり増えました。 本田:どれぐらい? 半々ぐらい? 鍬本:6対4ぐらいですね。熊本の方が6割です。