野球殿堂で先発投手が絶滅危惧種になる…ベテラン記者が「キング・フェリックス」ら4人への投票理由を説明
USAトゥデー紙のスティーブ・ガードナー記者が、イチローの元チームメートで「キング・フェリックス」と呼ばれた元マリナーズのフェリックス・ヘルナンデス投手に殿堂入りの1票を投じ、記事でその理由を説明している。 ヘルナンデスの殿堂入りへの課題は、比較的低い通算成績だ。通算169勝、2524奪三振、そしてポストシーズン出場がゼロ。30歳を過ぎてから成績が急激に低下した。 しかしながら全盛時は非常に安定した投手で、10年連続で30試合以上に先発登板。マリナーズの絶対的なエースとして11回の開幕投手を務めた。2007年から16年までの10年間のピーク時には、47.2のWARを記録。その期間、投手ではクレイトン・カーショーとジャスティン・バーランダーに次ぐ3位だった。10年にはア・リーグのサイ・ヤング賞を受賞。勝利数は13勝だったが250イニング近くを投げ、防御率2.27を記録した。防御率タイトルは2度獲得、12年にはレイズを相手に完全試合も達成している。 先発投手の起用法が変わっている現状を考えると、300勝、3000奪三振など、これまで何十年も使用されてきた歴史的な基準が年々非現実的になっている。将来的には先発投手という存在自体が野球殿堂で絶滅危惧種になる恐れがある。 そこでガードナー記者は今回、殿堂入りの可能性が高いとされるCC・サバシア(251勝、3093奪三振、サイ・ヤング賞1度、オールスター6度)に加え、ヘルナンデス、さらにはアンディ・ペティットとマーク・バーリーにも投票した。ペティットは前回の投票は6回目で13・5%、バーリーは4回目で8・3%の得票で、選出に必要な75%からはほど遠く、難しいとされているがあえて入れた。 2人とも長いキャリアで200勝以上を達成し、ワールドシリーズ制覇チームの重要なメンバーだった。ペティットはポストシーズン記録の44試合の先発を果たし、5度の世界一に貢献。バーリーは5度のオールスター選出、4度のゴールドグラブ受賞歴がある。しかしながらペティットは256勝、2448奪三振、バーリーは214勝、1870奪三振で歴史的な基準には足りていない。 そこでガードナー記者が、今回重視する指標として新たに加えたのがAdjusted ERA(ERA+)だ。シーズンやリーグの異なる選手同士を比較でき、リーグ平均を100として傑出度を測る。実はキャリア全体で、ヘルナンデス、ペティット、バーリーはいずれも同じ117のERA+だった。そしてサバシアは116だった。ちなみに、2015年1回目の投票で殿堂入りを果たしたペドロ・マルティネスは219勝、3154奪三振で、ERA+は154だった。