「これは悲しい」「残念だ」。サイゼリヤ、増収増益の好決算も優待を「突如廃止」。しかし、私が強く支持する理由。
ところで論を進める前提として、同社の業績を見てみよう。 2024年8月期第3四半期で、売上高1633億円、営業利益101億円だ。実に営業利益は前年同四半期にたいして182%も伸びている。しかも通期でも売上高、営業利益ともに増収増益を狙う。 ただセグメントで見ると、日本はギリギリといった感じだ。 ・日本:売上高1062億円、営業利益13億円 ・豪州:売上高76億円、営業利益4億円 ・アジア:売上高581億円、営業利益82億円
つまり、日本は薄利で、他の地域に稼いでもらっている状況だ。 日本では安売りと徹底したコスト管理が注目の的になっている。そして、純粋に私も同社の品質はすごいと思う。なぜあの価格であのクオリティかわからないほどだ。しかし、現実的に儲かっているかというと、日本市場ではそれほどではない。 日本の利益状況が単純に株主優待廃止を導いた、という単純な図式では考えていない。それに実際には同社の大株主はサイゼリヤ代表取締役会長である正垣泰彦さんだ。株主優待廃止から増配への動きは株主を利することになる。
私は仕事の関係もあって現在は、国内株式について個別株をもっていない。インデックスファンドやREITなどで資産の大半を占める。だから個別株式の株主優待は羨ましい……と思わなくはない。ただ、その理由で株主優待に反対はしていない。 ■株主は食事券ではなく、配当や株価の上昇を望めば良い まず、株主優待は日本特有の制度だ。もちろんすべての国の株式市場は知らないが、日本でとくに重要視された制度ではある。ただ、私はこの株主優待制度は、特定株主への優遇措置であり、特定株主への利益供与ではないかと疑っている。
たとえば「1000株以上を保有する株主に『食事券』2万円分」とあるが、それ以上を保有していてもそれ以上のメリットがない。さほど大きくない株主をターゲットにしているのは明らかで、平等性にも反している。さらに食事券は現金同等物を配っているため、配当金と同様の効果をもつ。それであれば、やはり株主平等の原則にも反している。 また、たとえば一般論でいえば、現在では日本企業といえども、上場している企業の株主の大半は外国人であり食事券を使うこともできない。かつては株主の数を一定以上確保することが求められたから、その際の名残といえるだろう。しかし、現代ではその意義を失っている。