年金なんて、さっさともらっておけば…年金月23万円・75歳の高齢男性、「年金を70歳まで繰下げたこと」をいまだに後悔する理由
老後の生活のベースとなる公的年金。できるだけ多くもらえたら……とは誰もが願うものです。そこで注目されているのが、年金の受取り開始時期を遅らせるだけ年金が増額となる「繰下げ受給」。しかし、実際に増額となった年金を受け取っていても後悔するケースもあるようです。 ▶【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
年金の受け取り…20万人は「繰上げ」を選択、37万人が「繰下げ」を選択
年金の受け取りは原則65歳からですが、60~75歳の希望するタイミングで受取り開始できます。 60歳から64歳と早く受け取るのが「年金の繰上げ受給」、66~75歳と遅く受け取るのが「年金の繰下げ受給」といいます。繰上げ受給では1ヵ月早めるごとに0.4%ずつ受取額が減額され、最大24.0%減。つまり最大4分の3になるイメージ。一方、繰下げ受給では1ヵ月遅らせるごとに0.7%ずつ増額。最大84.0%増。つまり約2倍になるイメージです。 ちなみに昭和37年4月1日以前生まれの場合、年金繰上げによる減額率は0.5%で、最大30%の減額でした。減額幅が小さくなり、より選びやすくなったのです。 また昭和27年4月1日以前生まれでは、繰下げの上限年齢が70歳で増額率は最大で42%でした。つまり、より年金の受取りを遅らせることで、年金受取額を増やすことができるようになりました。 さらに、年金の繰上げでは老齢基礎年金と老齢厚生年金は一緒に繰上げなければなりませんが、年金の繰下げでは片方だけを繰下げるということも可能。つまり65歳からは老齢基礎年金だけを受取り開始とし、老齢厚生年金だけを繰下げるという選択ができます。 年金の繰上げを選ぶのも、年金の繰下げを選ぶのも、原則通り65歳から受け取るのもそれぞれの判断次第。厚生労働省『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、老齢厚生年金受給者で年金の繰上げを選択した人は20万6,757人。これは対象2,804万5,102人の0.7%。5年前から全体の0.3%→0.4%→0.5%→0.6%と少しずつ、早めに受取り開始とする人が増えています。 一方で年金の繰下げ受給を選んだのは37万4,481人。これは全体の1.3%で、5年前から全体の0.7%→0.8%→1.0%→1.2%→1.3%と、少しずつ、遅めに受取り開始とする人も増えています。