時に生死を分ける「レイヤリング」の基本を学ぼう(専門家が監修)
連載「ジャングルブック」では、都市でも自然でも、いざという時の役に立つ“生き抜く力”にまつわる知恵を紹介。今回のテーマは「レイヤリングの基本」。[監修・取材協力/伊澤直人(週末冒険会代表)※最新著作『焚き火の教科書』(扶桑社)好評発売中。]
レイヤリングの基本
アウトドアにおいて、衣服は時に生死を分ける。乾きやすく、動きやすい服でなければ、汗や雨、風に体温を奪われ、最悪の場合には低体温症に陥ってしまうからだ。 それを防ぐには、機能の異なる服を重ね着する「レイヤリング」が重要となる。活動中の体温の変化や、急な天候の変化があったときには、こまめに服を脱ぎ着することで寒暖の調節を図るのだ。 基本的なレイヤリングは3層。①吸汗速乾性のある「ベースレイヤー」、②吸水性と保温性のある「ミドルレイヤー」、③雨風や寒さから守る「アウターレイヤー」。特に重要なのが汗のコントロールで、厚着しすぎて汗をかきすぎないよう、保温性と通気性のちょうどいいバランスを見つけたい。服のフロントジップを開けたり、風通しの良い素材を取り入れたりして、行動中でも汗をかかないのが理想。左の解説を参考に、普段の生活にもレイヤリングを取り入れてみると、快適に過ごせるはずだ。
① 適切な機能を重ね着して「動」と「静」を制する
レイヤリングの最大の目的は、体温を低下させないこと。汗や雨による濡れ、風の吹き付け、気温の低下など、カラダの熱を奪う要素はたくさんあるが、すべてを一着の服でまかなうのは難しい。服ごとの役割分担を理解して、適切なレイヤリングを構築しよう。
ベースレイヤー
肌に直接着用するベースレイヤーには、汗を吸い上げ、素早く乾かす「吸汗速乾性」が求められる。素材は軽量で高機能な化繊、保温性や防臭効果に優れるウールが基本。近年はさらに下にドライインナーなどと呼ばれる4層目を加えて吸汗性を高める工夫も。左図のようにハーフジップになっているものだと、胸元まで開放でき、体温調節がしやすい。 代表例:化繊orウールのTシャツやアンダーウェア(薄手~厚手)など